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設計思想とは何だろう?人により違う一体型の計測器のイメージ

設計のレベルアップ

2000年前後のWindowsやPC(パソコン)の普及により、音振の計測器もいわゆる箱型の計測器から、PC(ノートPCとソフトウェア)と計測ユニットを組み合わせた構成が主流になっていきました。

ここでは、ノートPCと計測ユニットの組み合わせで使用している計測器を、一体型の計測器にして欲しいという要求は、商品企画や設計・開発する上では、全く別のモノとなる例について説明します。

お客様の声やニーズを正しく受け止め、新製品としていくためのヒントにもなるかと思います。

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一体型の計測器が欲しいという声のリアル

音振の計測器がパソコンの普及により、ノートPCと計測ユニットの組み合わせが珍しいものではなく主流となってくると、昔からある計測専用器(箱型の計測器)のような一体型の計測器が欲しいという声を聞くようになりました。

営業的な面からは、主力はノートPCと計測ユニットの計測器は担当するお客様に一通りの生き渡り、新製品が欲しいという背景もあったようです。

そこで、一体型計測器についてのニーズを聞いてみると、次のように営業やお客様により求めるものが違うことに気づきました。

  • 一体型計測器タイプAは、ノートPCと計測器を1つにまとめて現場に持っていったら電源ONですぐに使いたいという要望でした。
  • 一体型計測器タイプBは、現場に持っていくのが楽なモバイル型の計測器が欲しいという要望でした。

商品企画として一体型計測器のイメージを具体化していきます。

一体型計測器のイメージを具体化

以下、一体型計測器タイプAを一体型計測器、一体型計測器タイプBをモバイル型計測器とよぶことにします。

「ノートPCと計測器の組み合わせではなく、一体型の計測器が欲しい!」との要求に対し、実際に一体型計測器とモバイル型計測器の新製品を開発するため、その技術的な違いを明確にしていきます。

計測器の使用場所

一体型の計測器をどこで使うかによる違いの例を列挙します。

  • 計測現場についたら、電源をつないですぐに使いたい。(PCと計測器を接続して、電源をつないで、PCとの電源をつなぐのが面倒な場合です。)
  • 手持ちで運ぶので、一般的なビジネスバッグ(リュック)に入る大きさと重さの計測器が欲しい。(使用場所や使い方よりも、移動時の要求が強い場合です。)
  • 現場についたら、即、その場で計測をはじめたい。(内蔵バッテリで使用できる要求です。)

簡単にまとめると、

  • 一体型計測器は、コンセントが使える場所
  • モバイル型は、コンセントが無くても使える場所

になります。

設計・開発の違い(新技術、開発期間)

設計・開発からみると、かなり違います。

  • 一体型計測器は、既存のソフトウェアと計測ユニットにPC(ノートPCかタッチパネルPC)とバッテリを1つの筐体(ケース)にまとめる。基本的にこれまでの開発資産の流用です。
  • モバイル型が、ソフトウェアは流用するとしても、PCと計測ユニット(計測基板)、バッテリの新規開発となります。

開発期間は、

  • 一体型計測器ならPCやバッテリの選定を含め1年で試作まで可能。
  • モバイル型は、ハードで1年、ソフトで1年の計2年は必要

といった違いがあります。

開発コストについても、

  • 一体型計測器はコストは基本的に筐体をどうするかがメインです。
  • モバイル型は、計測ユニット(基板)、筐体に加え、PCは工業用もありますが当然コスト高ですし、液晶パネルの入手もPCの流用ができないとコスト高で入手難

といった違いが出てきます。

共通の要求

優先度は下がりますが、共通の要求を列挙します。

  • 現場での計測なので、キーボードなしで使いたい。
  • 社内ネットワークにつなげたい。(WindowsのPCなら最初から使用可能)
  • 印刷したい。

などなど、様々です。

バッテリ駆動への要求と技術的課題

ここで、バッテリ駆動について補足します。

バッテリ駆動の要求(バッテリで計測できる時間)も、次のようにユーザーにより様々です。

  • 現場でセットアップして計測、その後、計測器の電源を切ることなく、小移動(20分程度)して計測を再開したい。あるいは、瞬停時にも内蔵バッテリで計測を継続したい。
  • 少なくとも半日(朝から計測開始して、昼食時にバッテリ交換)は、内蔵バッテリで計測したい。

バッテリ要求AとB共通の要求は、

  • 計測中にAC電源とバッテリとの切替を自動で行う。
  • できれば計測中の内蔵バッテリを充電できる。
  • バッテリを交換しながら計測を続けたい。

といったものがあります。

しかし、このバッテリを準備するのが、以下の通り意外に大きなハードルとなります。

  • バッテリユニットの入手
  • 計測器専用のバッテリユニットの開発は、コスト的に難しいのが一般的
  • AC電源とバッテリの切り替え(ハード、ソフト)
  • 内蔵バッテリの充電回路

特にモバイル型になると、熱だけでなく電源周りのノイズ対策も必要となり、思わぬ失敗が隠れていたりします。

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まとめ

2000年前後のWindowsやPC(パソコン)の普及により、音振の計測器もいわゆる組込型の計測器から、PC(ノートPCとソフトウェア)と計測ユニットを組み合わせた構成が主流になっていきました。

ノートPCと計測ユニットの組み合わせで使用している計測器を、一体型の計測器にして欲しいという要求は、商品企画や設計・開発する上では、全く別のモノとなる例について、以下の項目で説明しました。

  • 一体型の計測器が欲しいという声のリアル
  • 一体型計測器のイメージを具体化
    • 計測器の使用場所
    • 設計・開発の違い(新技術、開発期間)
    • 共通の要求
    • バッテリ駆動への要求と技術的課題
はかせ
はかせ

お客様の声やニーズを正しく受け止め、新製品としていくためのヒントにもなれば幸いです。

はかせ

サイト管理人で記事も書いているモノづくり会社の品証の人。
振動制御で工学博士なれど、いろいろ経験して半世紀。
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