目には見えない振動を可視化する方法の1つに振動モード形があります。
野球のバットの伝達関数(周波数応答関数)データから振動モード形を使い可視化する方法について、以下の記事にまとめました。
ここでは、FreeCADのFEMよる固有値解析を使った、野球のバットの3Dモデルによる振動モード形による可視化について説明します。
FEMによる金属バットの振動モード形の可視化
金属バットの3Dモデルがあれば、FEM(有限要素法)による固有値解析により、振動モード形を可視化することができます。
3Dモデルから振動モード形までを図を使い説明します。
3Dモデル作成
下図は、バットの3Dモデルの図です。
- 3Dモデルは、バットの断面(厚さ)のモデルを作成し、バットの長軸方向に回転させて作っています。

バットの3Dモデル
図1 バットの3Dモデル

3D CADは、何となく試行錯誤で使えるようにはならなかったので、基本的な操作(3Dモデルのつくり方)については、基本操作から学び練習したほうがよいと思います。
3Dプリンタによる造型も個人で手が届かないレベルではなくなってきているので、3D CADの基本操作習得はおすすめします。
FEMのメッシュ
下図は、バットのメッシュの一例です。
- メッシュを細かくしすぎると、3D表示が重くなりますので、目的に応じたメッシュ数にします。

バットのメッシュ
図2 バットのメッシュ
固有値解析(理論モード解析)
下図は、固有値解析により得られるバットの振動モード形の一例です。
- 固有値解析で得られる振動モード形は、2方向で同じものが得られます。
- バットの断面のXY方向の振動モード形であり、周波数(固有値、固有振動数)と形状はほぼ同じ値となります。

バットの1次モード(固有値解析)
図3 バットの1次モード(固有値解析)
FEMならではの振動モード形
FEMの場合、固有値解析の結果も3Dで可視化されます。
このため、見たい方向から見たいもの(変位、応力など)を可視化することができます。
ねじり
下図は、バットのねじりモードです。

バットのねじりモード(固有値解析)
図4 バットのねじりモード(固有値解析)
応力と変位の重ね合わせ
下図は、固有値解析による変位とフォンミーゼス応力を重ね合わせた図です。

バットのねじりモード(固有値解析)
図5 バットのねじりモード(固有値解析)
まとめ
目には見えない振動を可視化する方法の1つに振動モード形があります。
ここでは、FreeCADのFEMによる固有値解析を使った、野球のバットの3Dモデルによる振動モード形による可視化について、以下の説明しました。
- FEMによる金属バットの振動モード形の可視化
- 3Dモデル作成
- FEMのメッシュ
- 固有値解析(理論モード解析)
- FEMならではの振動モード形
- ねじり
- 応力と変位の重ね合わせ

2000年前後には、音振の可視化に取り組んでいましたが、20年以上経過している今、画像等はきれいになりましたが、基本的な部分は変わっていないようです。