ハンマリングについていつも言っていることがあります。
ここでは、特に体験実習やハンマリング試験に慣れていない人に、ハンマリングしてもらうときのポイントの様なものについてまとめてみます。
ハンマリング試験の際に重要なのは、
- FFTの設定
- インパルスハンマで加振対象をハンマリングすること
になります。
ハンマリングを体験実習や初めてハンマリングする際には、当然のことながら、次のような準備をします。
- ハンマリングの対象物の選定
- 対象物の固定方法
- FFTの設定
ここまで準備しておいて、初めて体験実習に臨むのですが、それもでいろいろとまさに想定外のハプニングは起きてしまいます。
できる準備はすべてやり、自分で試しておくことが重要です。それでも何か起きますが、それが実験のおもしろさでもあります。
ハンマリングの準備段階でのポイント
ハンマリングがうまくなる、正確で速く計測が終わらせるにはどうしたらよいのか考えてみます。
ハンマリングの準備
ハンマリング前の準備段階で考慮することは、次の3点がポイントになると思います。
- 対象物の固定方法
- センサの固定方法
- 計測点のマーキング
対象物の固定方法は、人により様々な工夫がされています。
例えば、バットのハンマリングは、下図の様にバットを宙づりにします。
ハンマリングするとバットが回転してしまうので、次のような現象が発生します。
- バットを吊る糸のねじれで、バットがなかなか静止せず。次のハンマリングまで時間がかかる。
- バットがねじれた際に、バットにワックスで固定したセンサが外れてしまる。(センサを瞬間接着剤などでしっかり固定するとセンサケーブルの接続部が壊れてしまいます。)
図1 ハンマリングのイメージ
そこで、このバットを吊る糸に釣り道具のサルカンと呼ばれる回り止めをつけているのを見たことがあります。
図2 百均で購入したサルカン
バットをハンマリングすると、バットを吊っている糸がねじれてきて、なかなか静止しなくなるのを防いでいまいした。
私は、ハンマリングでバットが回転してしまうときは、手で押さえてしまうのですが、ちょっとした工夫で
FFT(計測器)の設定
実際にハンマリングをしてデータを見ながら、計測周波数などのFFTの設定をしていきます。
できるだけ、最初の計測点から最後の計測点まで、FFTの設定を変更しないで済むように設定することがポイントです。
FFTには様々な機能がありますが、できるだけ同一条件でハンマリングも計測もするということです。
最近の計測器は、24bit以上の精度(分解能)を持つのであまり神経質にならなくて済みますが、16bitではオーバーレンジを防ぎつつ、できるだけ電圧レンジを使い切る設定にすることが計測制度を高めるポイントです。
ハンマリング時の心得?!
ハンマリグの心得というほどのものではありませんが、
- インパルスハンマは握らない
- ハンマリングだからと言って叩かない
と、特に初心者に対してはアドバイスしています。
「握らない」、「叩かない」目で見て、体験して初めて伝わるように思います。
インパルスハンマを握ってしまうと身体に余計な力が入り、インパルス加振ではなく、対象物を押してしまいます。
叩こうとしても、実際は押していることがままあるからです。
ハンマリングの際には、
- 軽く握る(保持する)。
- 上手く叩こうとか余計なことは考えない(考えてハンマリングしない)。
- インパルスハンマのヘッドの重みを利用して加振対象に当たる、振るイメージで。
といったことなのですが、すぐに伝わることもあれば、なかなか伝わらずもどかしい思いをすることもあります。
結局のところ本人次第ということです。
ハンマリングで安定した計測データを得るためには、
- 実際にハンマリングする。
- 計測データを確認する。
- 安定してデータが取れるようにハンマリングするにはどうすればよいか考える
これを繰り返すしかないと言い切ってよいと考えています。
ノウハウやコツをいくら言葉で伝えても、ハンマリングするのは人の手なので、初めから上手い人もいれば、ハンマリングには向かない人もいます。
それでも、ハンマリグをする必要性があり、本人がやる気をだして練習や経験を積めば、量が質に転化する瞬間がやってきます。
ハンマリングにおいても量が質に転化することがあります。「センスないな」と言われた経験があったとしても、諦めずに続けて欲しいと思います。
どうすればハンマリングがうまくなりますか?
ハンマリングでよく聞かれる質問の1つに、
ハンマリングがうまくなるにはどうすればよいですか?
というものがあります。
答えは、いつも同じです。
練習あるのみ。
かつて、新入社員向けに金属バットのハンマリング体験を担当した際、とてもハンマリングが上手な社員がいました。
聞いてみると、大学の研究室で始めてやったときは、あまりに不器用でデータがとれなかったものの、その後地道4年間叩き続けたそうで、「ハンマリングなら任せてください」と言っていました。
音振のコンサルで車のホワイトボディのハンマリングを担当した社員に聞いた話です。もともとハンマリングは上手なのですが、ホワイトボディでは、計測点が1,000点のオーダーとなり、さすがに最初と最後とで同じ計測データを出すには苦労したと言っていました。
こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、「量が質に転化する」というのは、確かだと思います。
この他にハンマリングがうまくなる方法を列挙してみると、次のようなことがあります。
- 様々な現場を経験する
- ハンマリングする時は無心
- 余計なことを考えずハンマリングに集中する
これでは、教えてくれと言われても答えにはなっていないですね。
まとめ
ここでは、ハンマリングのコツについて、これまでを振り返り、以下の項目でまとめました。
- ハンマリングの準備段階でのポイントハンマリングの準備
- FFT(計測器)の設定
- ハンマリング時の心得?!
- どうすればハンマリングがうまくなりますか?