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はじめての設計:加工による伸び縮みを考慮した板金部品の展開

折り曲げによる金属板の変形イメージ はじめての設計

技術職で採用され設計をすることになったものの、なぜか品証の私に「OJTと称して過去図面の修正やトレースをしていれば設計ができるようになるのでしょうか?」と質問がありました。

ISOと言えば私(はかせ)のところに聞きに来るので分からないでもないのですが、設計はさすがになと思いつつ設計・開発規定を見直して作成していたりもするので、これは設計者になるつもりで実際にやってみるしかないかと、FreeCADを使ってやってみることにしました。

大学で立体図学や製図の勉強はしましたが、苦手意識が残っていて3D CADによるモデリングもなかなか手強いと思っている私(はかせ)ですが、2022年1月、はじめての設計を始めます。

前回は板金設計の基本として、L字金具を例に折り曲げ加工と展開図について説明しました。

はじめての設計:板金部品設計の基本、L字金具の折り曲げと展開図
モノづくりの現場では、「モノを作りやすい図面」がよい図面です。加工担当者は、設計者が描いた図面を見て内容を読み取り加工をするからです。「はじめての設計」をテーマに、プレスブレーキによるL字金具製作、折り曲げと展開について説明します。

ここでは、金属板の折り曲げ加工による曲げ分の伸びを考慮したL字金具の設計について説明します。

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板金設計で展開図を意識する理由

ここでは、金属板を折り曲げて作るL字金具の設計を例に説明します。

下図は、L字金具の図面と展開イメージです。

L字金具の図面と展開イメージ

L字金具の図面と展開イメージ

図1 L字金具の図面と展開イメージ

上図右側の図の寸法で金属板を切り出し、折り曲げラインでL字に曲げると、上図左側の図面の様に、L字金具の奥行きと高さは丁度40mmにはなりません。

上図では折り曲げにより直角にならないことをイメージしやすくするため、L字金具の角部をRにしています。

80(=40+40)mm×60mmで切り出した金属板をちょうど折り曲げラインで曲げると、L字金具の図面指示40mmの寸法は40mmより短くなります。

金属板の板厚にもよりますが、曲げた部分の内側は圧縮力が、外側は引張力が働くためです。つまり、金属板を曲げると変形するということです。

つまり、板金設計の場合、折り曲げによる材料の伸び縮みを設計者は考慮する必要があります。

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折り曲げによる金属板の変形

折り曲げによる金属板の変形をもう少し詳しくみていきます。

下図は、折り曲げによる金属板の変形イメージです。

折り曲げによる金属板の変形イメージ

折り曲げによる金属板の変形イメージ

図2 折り曲げによる金属板の変形イメージ

上図の様に金属板を曲げた場合、金属板の上面、中心の面(中立面)、下面は、次の様になります。

  • 金属板の上面は、引張力が働き、伸びます。
  • 金属板の下面は、圧縮力が働き、縮みます。
  • 金属板の中立面は、内側方向に移動します。

L字金具についても同様に考えてみると、折り曲げ加工により次の様になります。

  • L字金具の角部の外側は、引張力により、伸びます。
  • L字金具の角部の内側は、圧縮力が働き、縮みます。
  • L字金具の角部の中立面は、内側方向に移動します。

以上のことから、板金設計において折り曲げ加工をする場合には、折り曲げによる変形を考慮する、つまり、折り曲げ部分による補正が必要になるということが分かります。

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板金の折り曲げの補正方法

L字曲げの部分は、下図のように表すことができます。

L字曲げ部分の形状と寸法イメージ

L字曲げ部分の形状と寸法イメージ

図3 L字曲げ部分の形状と寸法イメージ

ここでは、図1の右側の厚さt(mm)で60mm×80mmの金属板を長さ直角に折り曲げます。

上図において、直角に曲げることができれば、A=C=40mmとなります。

しかし、実際に折り曲げた場合、

  • 角部の内側は、A+R+Cとなります。曲げ加工前より短くなる。
  • 角部の外側は、A+B+Cとなります。曲げ加工前より長くなる。

では、補正する場合はどうするかというと、都度計算しているわけではなく、折り曲げ加工による角部への影響が大きいのは板厚(t)であるため、板厚による補正値(α)を決めて設計しています。

式にすれば、L字金具の展開寸法は、A+B+αとなります。

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板金設計の折り曲げに関するその他の注意点

ここまでの折り曲げは直角曲げの例でしたが、その他の注意点について簡単に説明します。

はかせ
はかせ

ペーパークラフトをやってみると、のり代や紙の厚さを考慮しないと仕上げたい寸法や形状にならないことが分かります。

Rをつけたり複数部品を使う場合

角部にRをつけたり、複数の部品を使う場合にも注意が必要です。

折り曲げにより、外形からは外側にふくらむと考えることもできます。加工前に想定していた寸法に、曲げによるふくらみの影響が加わるため、設計で考慮する必要があります。

丸穴やパンチ(抜き)後の折り曲げ

この記事のL字金具は、平板を直角に曲げただけですが、実際のL字金具には、ねじ穴やパンチ(抜き)などによる加工が施されています。

例えば、曲げる部分とねじ穴との間が狭すぎると、曲げにより穴が変形してしまいます。このため、一般的に次の様な基準を定めているようです。

曲げ部と穴の距離=板厚(t)×1.5+曲げ半径(R)

公差が厳しい場合には、さらに安全をみて距離を取ります。

はかせ
はかせ

曲げた後に穴加工すれば、曲げによる穴の変形を避けることができますが、QCDのバランスなのでしょうが、加工精度や作業性で決めていることもある様です。

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まとめ

設計の基本といえば、まずは板金設計です。

ここでは、板金部品展開の基本の1つ、折り曲げと展開について以下の項目で説明しました。

  • 板金設計で展開図を意識する理由
  • 折り曲げによる金属板の変形
  • 板金の折り曲げの補正方法
  • 板金設計の折り曲げに関するその他の注意点
    • Rをつけたり複数部品を使う場合
    • 丸穴やパンチ(抜き)後の折り曲げ
はかせ

サイト管理人で記事も書いているモノづくり会社の品証の人。
振動制御で工学博士なれど、いろいろ経験して半世紀。
はかせの詳細は「はかせ」をクリック

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