日本のモノづくり(製造業)会社のフローは、会社の大きさ(規模)によって大きく違います。
一般的に、モノづくりにおいて、設計に時間をかければ、後工程でのミスや製品が市場にでてからの不良(クレーム)が少ないといわれています。
しかし設計に時間をかけ過ぎれば、競合他社に先を越されることになります。
このため、いかにして効率よく設計業務をこなせるかが、モノづくり会社のビジネスの勝敗を決めることになります。
ここでは、モノづくり会社の規模と設計フローについて説明します。
モノづくり会社の規模と設計フロー
下図は、一般的なモノづくり会社の設計のフローと会社規模のイメージ図です。
- 小規模:基本的に量産はない。
- 従業員が20名程度、(家族経営)
図1 会社規模と設計フローのイメージ
会社規模が大きければ、技術者の人数が多いので、分業したり、各工程(プロセス)で確認するなどして、設計ミスを防ぐ体制を組むことができます。
会社規模が小さくなるにつて、技術者の人数が少ない分、工程を省いたり、1人で複数の工程を担当するようになりますし、各工程(プロセス)での確認も規模に合わせたものとなっていきます。
大規模な会社の設計フロー
会社規模が大きいと、商品企画を担当する部署があります。商品企画、設計、製造の各部署が分業して組織的にモノづくりをします。
会社規模が小さくなると、商品企画をしてのモノづくりはする場合は少ないか、ほとんどないイメージになります。小規模の会社で商品企画からモノづくりをする場合には、社長のリーダーシップありきであり、営業と技術を含めたチーム的な取り組み(プロジェクトとしての活動)が多いと思います。
会社規模が大きいと、設計プロセスでも、構想設計、基本設計、詳細設計といったように設計が段階的に進められ、次のプロセスに進む前にデザインレビュー(設計審査)を行います。
設計(図面)の根拠となる設計資料もレビュー(審査)のために必要なので、当然作られますし、図面と共に設計資料も管理されます。必要な時に調べれば、少なくとも図面と設計資料が見つかるということです。
設計が完了すると、その後、試作、量産試作、量産へと進みますが、ここでもレビュー(審査)を行い段階的に進めていきます。
レビュー(審査)が多いということは、会議は多いと言うことでもあり時間がかかる面もありますが、言葉を変えれば、それだけの人と時間を費やすことで、後工程からの手戻りや製品不具合を防いでいるともいえます。
中規模の会社の設計フロー
中規模の会社では、大規模の会社の工程(プロセス)をいくつか省略してしまうことが多いです。人が少ないので大規模な会社と同じプロセスを踏むことは、現実的にできないということでもあります。
この規模の会社では、お客様からの要望を聞いて仕様が決まると、即、詳細設計に入る場合が出てきます。
設計のアウトプットとしては図面しかないことが普通で、どうしてその図面の使用になったか書いてある設計資料はないということです。
設計資料がないということは、仕様を聞いていきなりCADで図面を描き始めるということでもあります。
仮に、設計後の製造や納品後に不具合が発生した場合、設計の根拠となる設計資料がないため、原因も対策もその場しのぎの場当たり的なものになってしまいます。
このため、モノづくりに必須な図面に加え、その図面の根拠について書かれた設計資料は、会社規模によらず必要です。
小規模の会社の設計フロー
小規模の会社、いわゆる零細企業をイメージしていますが、この規模の会社では、受注から納品までが短いことが多くなります。
多品種・少量・短納期のモノづくりということです。
設計フローもプロセスを踏むというよりは、「仕様が決まると図面を描いて製作する。」イメージになります。
1度限りのモノづくりになりがちなので、設計図面も管理された状態ではなく、設計資料もありません。設計や製作では、メモをすることはあったも、そのメモが残ることはまずありません。
設計や製作の担当者の頭の中に断片的な知識やノウハウとして残ることはあっても、それが再利用されるとは限りません。
さずがに、図面なしでモノづくりをすることはないため、図面に必要なメモ書きを加えたものを設計資料としても保管し、管理すれば類似の仕事をしたり、同じ様な失敗を繰り返さずにすむようになっていくのですが・・・。
設計資料は、設計の根拠となるものです。小規模の会社こそ設計資料を残す取り組みをしていかないと、モノづくりを続けることが難しくなってしまうのではないかと考えています。
まとめ
日本のモノづくり(製造業)会社のフローは、会社の大きさ(規模)によって大きく違います。
一般的に、モノづくりにおいて、設計に時間をかければ、後工程でのミスや製品が市場にでてからの不良(クレーム)が少ないといわれています。しかし設計に時間をかけ過ぎれば、競合他社に先を越されることになります。
このため、いかにして効率よく設計業務をこなせるかが、モノづくり会社のビジネスの勝敗を決めることになります。
ここでは、モノづくり会社の規模と設計フローについて以下の項目で説明しました。
- モノづくり会社の規模と設計フロー
- 大規模な会社の設計フロー
- 中規模の会社の設計フロー
- 小規模の会社の設計フロー