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ドローンによる大型機C-5Mスーパーギャラクシーのメンテナンスの試験

ドローンによる大型機の検査のトライアル 航空機の実機試験

橋梁などのインフラだけでなく、通信などのライフラインのメンテナンス分野でもドローンの利用が進んでいます。

ここでは、2024年2月にDOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイトのニュースが公開された、米国空軍の戦略輸送機C-5Mスーパーギャラクシーのメンテナンス(検査)にドローンを利用したテストについて説明します。

大型機のメンテナンス(検査)へのドローン活用は、高所作業の効率化だけでなく副次的な効果も大きいと考えています。

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大型機のドローンによる翼の点検

対象となったのは、米国空軍の戦略輸送機C-5Mスーパーギャラクシーです。

  • 全長:75.3 m、全高:19.84 m、67.89 mと超大型です。
  • 米国の主力戦車M1A2(約60トン、60,000kg)を2両空輸可能です。
C-5Mスーパーギャラクシー

Dover AFB aircraft provide strategic global airlift capability A C-5M Super Galaxy approaches the runway for a touch and go landing during a local training flight at Dover Air Force Base, Del., May 1, 2024. Eighteen C-5Ms are assigned to Dover AFB. The C-5M is a strategic transport aircraft and is the largest aircraft in the U.S. Air Force inventory. (U.S. Air Force photo by Roland Balik)

図1 C-5Mスーパーギャラクシー

出典:DOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

C-5Mスーパーギャラクシーの詳細は、以下の記事をご参照ください。

主翼や補助翼の点検イメージ

ドローンによる点検は、主翼や補助翼の点検です。

ドローンによる点検は、次のようなイメージになります。

  • まず、ドローンが機体の周囲を飛行し、多数の高解像度の写真を撮影経路をマッピングします(ドローンの飛翔経路を決めます)。
  • 特に注目したいポイントは、全部で34箇所あります。
  • これらのポイントの情報は、10秒以内に別のシステムで自動的にフィードバックされます。
  • ドローンによる作業は約10分で完了します。

ドローンを使わない場合(従来)は、人が点検したい場所(ポイント)に近づきますので、点検作業のイメージは次のようになります。

  • 例えば、C-5MスーパーギャラクシーのT字型の尾翼は、地上から約20mの高さがあります
  • 尾翼の点検をするためには、約20mの高さに点検作業者が近づく必要があります。
  • 高所作業なので安全帯(ハーネス)を装着し、足場を組んだり、高所作業車を利用したりすることになります。
  • 点検作業には、何時間もかかっているようです。

機体の点検内容

機体の点検作業では、

  • パネルの緩み
  • リベットの欠落
  • 塗装の剥がれ

などを確認します。

はかせ
はかせ

いわゆる外観の検査です。外観検査では判断が難しい場合もあり、知識と経験が必要です。

ドローン利用によるメリット

ドローンを点検に利用することで得られるメリットは、点検作業時間が大幅に短縮されるだけではありません。

はかせ
はかせ

ドローン利用により大型機の点検作業が短時間で終わるだけでなく、ドローンを使うからこそ得られる副次的なメリットが小さくないと考えています。

安全面でのメリット

ドローンを利用することで、高所作業がなくなる安全面でのメリットがあります。

人による点検が必要な場合(ケース)は残りますが、ドローンで検査した結果必要な場合に限定されていくので、人による点検の数(頻度)が減るという意味合いです。

点検結果の活用

ドローンで点検をするということは、デジタルデータが収集されるということです。

人が点検する場合には、点検箇所の情報(検査結果)は、その人の頭の中にあります。

点検中に他の人とコミュニケーションをとりたい場合があります。高所作業時には伝えることが難しいです。

ドローンで点検結果を収集すると、収集したデータを同時に複数の人が確認することができます。また、データを蓄積し比較することが容易になります。

点検作業者はベテランであり、その知見を活かして問題の早期発見もできます。しかし、これらの知見は点検作業者個人の知見であり属人化しがちです。

ドローンによるデータ収集を続けると過去のデータを含めた点検結果の比較が容易になります。

人の目からセンサーの利用

機体の点検では、

  • パネルの緩み
  • リベットの欠落
  • 塗装の剥がれ

などを目視(人の目)で確認します。

ドローンでは、人の目に代わりセンサーを利用しますので、

  • 周囲の環境(明るさなどの外部環境)
  • 機体の汚れなどによる影響
  • 人の目よりも高い精度

を安定して得ることができます。

また、人が行うことには、ヒューマンエラーといわれる見落としなどがあり、ヒューマンエラーをゼロにすることは一般的に難しいのですが、ドローンを利用することで、見落としを減らしていくことができます。

点検のレベルアップ

ドローンを使うことで、点検作業が短時間ですむようになると、ドローンで収集したデータの分析に時間を割くことができるようになります。

これまでに気づかなかったことや、従来は時間がなくて見過ごしてきたようなことを検討したり、収集したデータに疑問があれば、再度ドローンを飛ばして点検することも可能になります。

写真で見るドローンによる大型機の点検

DOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイトの写真を使って、ドローンによる点検のテストについて説明します。

下図は、使用したドローンの写真です。

  • Near Earth Autonomy社製です。
Near Earth Autonomy社製ドローン

Team Dover tests innovative drone program A Near Earth Autonomy drone sits before a demonstration at Dover Air Force Base, Delaware, January 23, 2024. Team Dover in cooperation with Boeing and Near Earth Autonomy tested a drone program for an autonomous C-5M Super Galaxy aircraft inspection project. Traditional inspections that require personnel to use a safety harness, maintenance stands, or vehicles can take hours to accomplish, but the drone can complete the same inspection in approximately 10 minutes. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. J.D. Strong II)

図2 Near Earth Autonomy社製ドローン

出典:DOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)

下図は、C-5Mスーパーギャラクシーの尾翼とドローンの写真です。

C-5Mスーパーギャラクシーとドローン(その1)

Team Dover tests innovative drone program A Near Earth Autonomy drone scans a C-5M Super Galaxy at Dover Air Force Base, Delaware, January 23, 2024. Team Dover in cooperation with Boeing and Near Earth Autonomy tested a drone program for an autonomous C-5M Super Galaxy aircraft inspection project. Traditional inspections that require personnel to use a safety harness, maintenance stands, or vehicles can take hours to accomplish, but the drone can complete the same inspection in approximately 10 minutes. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. J.D. Strong II)

図3 C-5Mスーパーギャラクシーとドローン(その1)

出典:DOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)

下図は、C-5Mスーパーギャラクシーの主翼とドローンの写真です。

C-5Mスーパーギャラクシーとドローン(その2)

Team Dover tests innovative drone program A Near Earth Autonomy drone scans for anomalies such as stress fractures, rust, and loose bolts on a C-5M Super Galaxy at Dover Air Force Base, Delaware, January 23, 2024. Team Dover in cooperation with Boeing and Near Earth Autonomy tested a drone program for an autonomous C-5M Super Galaxy aircraft inspection project. Traditional inspections that require personnel to use a safety harness, maintenance stands, or vehicles can take hours to accomplish, but the drone can complete the same inspection in approximately 10 minutes. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. J.D. Strong II)

図3 C-5Mスーパーギャラクシーとドローン(その2)

出典:DOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています。)

参考情報

DOVER AIR FORCE BASE(米国空軍)のWebサイトの以下の記事を参考にしています。

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まとめ

橋梁などのインフラだけでなく、通信などのライフラインのメンテナンス分野でもドローンの利用が進んでいます。

大型機のメンテナンス(検査)へのドローン活用は、高所作業の効率化だけでなく副次的な効果も大きいと考えています。

ここでは、米国空軍の大型輸送機のメンテナンス(検査)にドローンを利用したテストについて、以下の項目で説明しました。

  • 大型機のドローンによる翼の点検
    • 主翼や補助翼の点検イメージ
    • 機体の点検内容
  • ドローン利用によるメリット
    • 安全面でのメリット
    • 点検結果の活用
    • 人の目からセンサーの利用
    • 点検のレベルアップ
  • 写真で見るドローンによる大型機の点検
  • 参考情報
はかせ

サイト管理人で記事も書いているモノづくり会社の品証の人。
振動制御で工学博士なれど、いろいろ経験して半世紀。
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