製図の投影法には、第一角法と第三角法があります。
第三角法の図面ばかり見てきたので、参考図が第一角法とは気づかず、現場で取りつかなかった不具合について、以下の記事で紹介しました。
ここでは、第一角法と第三角法の違いは、言葉ではなかなか分かりにくいので、図を使って説明します。
第一角法と第三角法の主な用途
第一角法と第三角法は、どちらも正投影法ですが、以下の通り主な用途が違います。
- 第一角法:建築物や船舶など大きい構造物は相性が良い。
- 第三角法:機械部品のような小さいモノと相性が良い。
相性が良いとは、使いやすいとか分かりやすいといったイメージです。
以下、
第一角法と第三角法の違いについて、座標系、製図対象の見方、及び、図面で説明します。
座標系で比べる第一角法と第三角法の違い
下図は、第一角法と第三角法の座標系での違いを示したものです。
下図において、
- 第一象限で製図対象(下図の直方体)を投影するのが第一角法
- 同様に第三象限で製図対象を投影禹するのが第三角法
製図対象、視線及び投影図(正面図)との関係について説明します。下図を見た通りの関係ですが、文章にすると次の様になります。
- 第一角法では、製図対象の向こう側に正面図を投影します。
- 第三角法では、製図対象の手前側に投影します。
第三角法は、見えている面をそのまま描く方法です。
図1 座標系で比べる第一角法と第三角法
製図対象の見方で比べる第一角法と第三角法
下図は、第一角法と第三角法の製図対象の見方(視線の向き)と投影図(正面図等)との関係を示したものです。
- 第一角法は、例えば側面図の位置が左右反対になります。
- 第三角法は、見えている面をそのまま投影図として描きます。
製図対象を下図の様に箱にいれると、
- 第一角法は、箱の中から見て、箱の内側に投影された形状で描く。
- 第三角法は、箱の外から見た状態でそのまま描く。
図2 製図対象の見方で比べる第一角法と第三角法
図面で比べる第一角法と第三角法
下図は、第一角法と第三角法の製図対象と投影図との関係を示したものです。
第一角法と第三角法の製図対象と投影図との関係や特徴について説明します。図2と合わせて考えると分かりやすいかもしれません。
図3 図面で比べる第一角法と第三角法
第一角法と第三角法の違いを下表に示します。
第三角法に慣れている場合の比較になりますのでご注意ください。
第一角法 | 第三角法 |
---|---|
図の配置が上下左右が第三角法の逆になり、隣りの面の図も関係性がわかりにくい。 |
面を展開した場合と同じで、感覚的にもわかりやすい。 |
製図対象と投影面の配置を頭の中で考えて変換する必要がある。 |
正面図から見て右側面は右、下面は下に描く。 |
側面図の位置が左右反対、左側面図が正面図の右になるので、製図対象の形状を把握しにくい。 |
製図対象に対して各投影図が連続して表示されるので、形状が分かりやすい。(正面図を基準に前後左右に90度ずつコロコロ傾ければ、それがそのまま平面図、背面図、裏面図、右側面図、左側面図となっている。) |
上からの投影図は下へ 左からの投影図は右へ |
上からの投影図はそのまま上へ 左からの投影図はそのまま左へ |
この記事の初めで紹介した、参考図が第一角法に気づかず製図してしまった不具合は、図3の第一角法の左側面図を第三角法の左側面図と思い製図したため、製作自他物が左右対称の形状になってしまったということになります。
参考図に第一角法が第三角法かを示す記号がなかったために起きた勘違いでもありますが、部品の形状と取り付け方(方法)を確認しておけば防げた不具合でもありました。
第一角法と第三角法の図面を比べるのは、私にはなかなか難しい脳内変換でした。
まとめ
製図の投影法には、第一角法と第三角法があります。
第三角法の図面ばかり見てきたので、参考図が第一角法とは気づかず、現場で取りつかなかった不具合について、以下の記事で紹介しました。
ここでは、第一角法と第三角法の違いは、言葉ではなかなか分かりにくいので、図を使って以下の項目で説明しました。
- 第一角法と第三角法の主な用途
- 座標系で比べる第一角法と第三角法の違い
- 製図対象の見方で比べる第一角法と第三角法
- 図面で比べる第一角法と第三角法