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空飛ぶホンダ、ホンダジェットは主翼の上にジェットエンジン搭載

ホンダジェット 航空機いろいろ

車とバイクのホンダが開発・生産・販売しているのがホンダジェットです。ホンダジェットの開発・生産会社は米国にありますが、日本メーカーのホンダがゼロから作り上げた素晴らしい小型ジェット機だと思います。

航空機の設計開発は、CAEに試験となかなか難しそうですが、おもしろそうでもあります。

なお、技術的なことや写真は、ホンダジェットのWebサイト(特に英語版の方が詳しい)をご確認ください。

ホンダジェットのフリー写真を入手できたので、技術的なことを追記しました。(2021年11月23日)

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ホンダジェットとは

ホンダジェット

引用先:国土交通省ホームページによるホーム>報道・広報>報道発表資料>ホンダジェット(ホンダジェット)に対する型式証明の「ホンダジェットに対する型式証明について(PDF形式)」からの画像

図1 ホンダジェット

上図の写真は、ブログで使えるホンダジェットのフリー素材がみつからなかったので、以下の資料から引用しています。

引用先:国土交通省ホームページによる「ホーム > 報道・広報 > 報道発表資料 > ホンダジェット(ホンダジェット)に対する型式証明」の「ホンダジェットに対する型式証明について(PDF形式)」からの画像

外観上の特長を列挙すると、

  • 主翼の上にジェットエンジンが搭載されている。
  • 形状がとても滑らかで(車の様に)美しい。

ことが挙げられます。

また、Webサイトなどの写真を見ると飛行機に乗る際のタラップが低く、乗り込みやすそうに見受けられます。

ビジネスジェット(プライベートジェット)の世界に自動車の品質を持ち込んだとも言えますが、特に主翼の上にエンジンが搭載される方式は非常にユニークで、ホンダジェットについては開発の初期から航空機業界では注目されていたそうで、発売開始ごビジネスとしても順調に推移しているのはすばらしいことだと思います。

ホンダジェットの開発については、以下の本を読みました。技術的なことだけでなく、1つのプロジェクトとして見ても、非常に興味深いケースだと考えています。

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ビジネスジェットで世界初の主翼上面エンジン配置

いわゆるビジネスジェットは、エンジンを胴体後部の左右に1基づつ配置したものが主流です。

一般にジェット機の主翼上面には、小さな突起すらないようになめらかになっています。航空力学的にいうと、主翼上面を流れる空気の流れを乱さないようにして揚力を得ることが重要だからです。

ホンダジェットでは、主翼上面にエンジンを配置するというユニークと言うより斬新なデザインとなっています。ちなみに、主翼上面のエンジン配置は、ビジネスジェットでは世界初のようです。

下図のように、ホンダジェットは、主翼上面にエンジンを配置しています。主翼へのエンジンマウント方法やエンジンの方向も単純な配置ではないようです。

なお、下図のホンダジェットにしては珍しい塗装の機体で、アンテナ上の突起物も見られるので何かの試験機なのか特殊な用途向けの機体なのかもしれません。

ホンダジェット:主翼上面のエンジン配置 

ホンダジェット:主翼上面のエンジン配置

図2 ホンダジェット:主翼上面のエンジン配置

出典:Photo by Simon Hurry on Unsplash(トリミングしています)

エンジンを主翼上面に配置することによるメリットについて説明します。

主翼上面配置のメリット:室内空間を最大限利用できる

胴体後部にエンジンを配置した場合、エンジンを支える構造にするため、胴体後部がデッドスペースになりますが、ホンダジェットでは胴体後部の内部スペースを最大限に活用することができます。

これにより、これまでのビジネスジェットにはない室内空間と荷物室を実現しています。

主翼上面配置のメリット:静かで快適な室内空間

エンジンが胴体から離れているため、胴体後部にエンジンを搭載した場合より、エンジンから伝わる振動や騒音が小さくなります。

振動・騒音源であるエンジンが胴体に直接接続されているよりも、主翼上にある方がエンジンの振動・騒音の影響が小さくなるということです。

主翼上面のエンジン配置は、設計的には新たな問題もありそうですから、簡単なことではないと考えています。

主翼上面配置のメリット:空気抵抗が減るので速度アップと低燃費

エンジンの主翼上の最適配置の結果得られる効果だと考えていますが、速度アップと低燃費を実現しています。

ホンダジェットのWebサイト情報によると、主翼上でエンジンの前だけ空気抵抗が小さくなっているそうです。

主翼上面エンジン配置の技術的な課題

主翼上面にエンジンを配置するためには、主翼とエンジンの位置関係を最適化することが必須になります。これは、技術的には可能ですが、簡単なことではありません。おそらく、CAEツールもカスタマイズや独自の開発が必要だと考えています。

ビジネスジェットで世界初ということは、シミュレーションと実験、つまり理論と検証を自らやることでもあるからです。実際にシミュレータも開発しているそうです。

これは、私の理解なのですが、以下説明します。

  • 主翼の最適化とエンジンの最適化を各々進める。
  • 主翼とエンジンの配置を検討する。つまり、主翼上のエンジン設置場所を決め、どのように主翼とエンジンを接続するかを決める。

ということです。

ここでの最適なエンジンレイアウトは、機体全体での最適化、つまり、速度アップや低燃費になります。

では、そのレイアウトをどうやって決めていくかというと、

  • 主翼とエンジンのレイアウトを決定
  • 飛行条件や環境条件を変えてシミュレーション
  • 実験でシミュレーション結果を検証

これを、レイアウトの初期設定から変更を加え、繰り返します。どこまでやるかは、シミュレーション結果と実験結果が一致する、つまり、仮説と検証が終わった時になるのではないでしょうか。

米国や日本で型式証明を取らない事には、飛ぶことはできないので。

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ホンダ独自の自然層流翼と自然層流ノーズ

ホンダジェットの特徴的なノーズ部分(機首形状)は、自然層流ノーズと呼ばれています。

自然層流翼というのは、私は見ただけではわかりませんが、Hodajetoの機体表面は自動車の様になめらかな表面になっており、これも従来のビジネスジェットにはない特徴の1つです。

層流とは翼や機体表面などの空気の流れ場スムーズな状態のことです、乱流のように渦を巻くことなくスムーズに空気が流れている状態です。

乱流は抵抗なので、層流を実現しているホンダジェットの自然層流翼と自然層流ノーズは、速度と燃費向上に役立っています。

ホンダジェット:自然層流翼と自然層流ノーズ

ホンダジェット:自然層流翼と自然層流ノーズ

図3 ホンダジェット:自然層流翼と自然層流ノーズ

出典:Photo by Simon Hurry on Unsplash(トリミングしています)

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ホンダジェットの型式証明と主要諸元

ホンダジェットの日本での型式証明は、2018年12月7日です。

型式証明とは、航空機の型式の設計が所要の安全基準及び環境基準に適合していることを証明するものです。

ホンダジェットは、米国で型式証明を受けています。

なお、詳細は省きますがエンジンについては、別に型式証明を受けています。

ホンダジェットの主要諸元

主要諸元は、以下の通りです。

  • エンジン:GE ホンダ・エアロエンジンズ式 HF120型 2基
  • 最大離陸重量:4,853 kg
  • 最大搭乗者数:7名(操縦士含む)
  • 最大巡航高度:13,106 m
  • 航続距離:2,661 km
  • 最大巡航速度: 782 km/h
  • 全長:12.99 m
  • 全幅(翼幅):12.12 m
  • 全高:4.54 m

ホンダジェットをどこで見る

日本国内の飛行場でも見ることができるようですが、

青森県立三沢航空科学館に実機が展示されるそうです。

見に行けば間近にじっくりみられるのですが、さすがに三沢までは行けないですね。

2021年4月20日にリニューアルオープン、ホンダジェットの情報も増えると嬉しいのですが、2021年11月現在、行って見るしかなさそうです。

青森県立三沢航空科学館
青森県立三沢航空科学館は、「大空」と「飛翔」をテーマに、未来を担う子どもたちが楽しみながら、科学する心、感動する心、挑戦する心を育む施設です。

ちなみに日本の飛行場、私が利用したことがあるのは羽田、成田、札幌、福岡ぐらいですが、大小合わせると100以上あることを知り、驚きました。

以下は、国土交通省の空港一覧のページですが、おそらくビジネス的にはあまり使われず、一部でしか知られず、利用も活発とは言えないのでは?

航空:空港一覧 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

飛行機に魅かれる理由と航空機力学の参考図書

飛行機(中でも戦闘機)には余分なものがない機能的な美しさ、カッコよさがあると思います。

飛行機の機体表面に突起があれば、空気抵抗になり、ムダな燃料消費となってしまいます。

自動車でもF-1になるとドライバーではなく、パイロットと呼ばれているそうです。F-1はまさに空力の世界、地上を走るというよりは地表面を飛ぶような感覚に近いのかもしれません。

昭和の時代にエアスポイラーとか流行った時期がありましたが、高速道路の100km程度では燃費への影響や接地力(グリップ力)への効果などはどれだけあったのかは疑問が残ります。

はかせ
はかせ

若かりし頃4ドア車にトランクスポイラーを着けていました。理由はトランクを開けやすいことでした。

航空機の設計開発は、CAE含めなかなか難しそうですが、おもしろそうでもあります。

航空機の力学については、以下の本を読んでみましたが、自由度だけでも航空機単体と、航空機と地上との関係の座標軸など違いが分かりました。(理解はできていませんが、わかりやすくまとまっていると思います。)

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まとめ

車とバイクのホンダが開発・生産・販売しているのがホンダジェットです。ホンダジェットの開発・生産会社は米国にありますが、日本メーカーのホンダがゼロから作り上げた素晴らしい小型ジェット機だと思います。

ここでは、以下の項目で説明しました。

  • ホンダジェットとは
  • ビジネスジェットで世界初の主翼上面エンジン配置
    • 主翼上面配置のメリット:室内空間を最大限利用できる
    • 主翼上面配置のメリット:静かで快適な室内空間
    • 主翼上面配置のメリット:空気抵抗が減るので速度アップと低燃費
    • 主翼上面エンジン配置の技術的な課題
  • ホンダ独自の自然層流翼と自然層流ノーズ
  • ホンダジェットの型式証明と主要諸元
    • ホンダジェットの主要諸元
  • ホンダジェットをどこで見る
  • 飛行機に魅かれる理由と航空機力学の参考図書
はかせ

サイト管理人で記事も書いているモノづくり会社の品証の人。
振動制御で工学博士なれど、いろいろ経験して半世紀。
はかせの詳細は「はかせ」をクリック

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