実験屋は実験から。では、設計初心者はCAEを何から始めるだろうか

2021年4月、新しい学校や会社で新しいスタートを切った方も多いと思います。

このブログの記事をベースに、「FreeCADで始めるCAE設計入門」と「ハンマリング試験から始めるモード解析入門」の2冊のKindle本を出版しています。

この2冊の販売実績から、売れている理由やCAEと実験との違いなどについて考えてみました。

はかせ
はかせ

おかげさまで売れています。

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対象となるKindle本の紹介

このブログの記事を元に出版したKindle本は、以下の2冊です。

Amazonへ:「ハンマリング試験から始めるモード解析入門

Amazonへ:「FreeCADで始めるCAE設計入門

2冊のKindle本を書いた理由

このブログを始めた理由の1つでもある、

モノづくりには、実験もCAE(シミュレーション)も必要なので、

  • 実験とCAEシミュレーションの体験をして欲しい。
  • 実験担当の人とCAEシミュレーション担当者が何をしているのか知って欲しい。

と私は考えています。

しかしながら、現在のモノづくりの現場では、次の様にリアルに触れる機会が減っています。

  • モノづくりにおける実験とシミュレーション(CAE)は、シミュレーションの割合が増えている。
  • CAEは今後も増えるが、シミュレーション結果を検証する実験(試験)はなくならない。
  • 実験もCAEも簡単なものと難しいものの両極化が進んでいる。
  • 工学系の大学の研究室でさえ実験をする機会が減っている。
  • 設計者でも設計した部品(製品)の実機に触れる機会は少ない。

CAEによるフロントローディングについては、以下の記事をご参照ください。

「ハンマリング試験から始めるモード解析」を書いた理由

「ハンマリング試験から始めるモード解析」は、金属バットを例に体験重視で、

  • ハンマリング試験で金属バットの伝達関数を計測
  • 計測したデータで金属バットの簡易的な振動モード形を作成
  • ホームランについて振動モード形から考察する

さらに、同じバットが対象でも実験とCAEとは違うことを説明するため、

  • FreeCADの固有値解析結果と振動モード形を比較
  • 実験モード解析と固有値解析との違い

についてまとめています。

見方を変えると、

  • 実験屋さんにCAEシミュレーションを紹介
  • CAE屋さんへのハンマリング体験
  • 実験とCAEシミュレーションの違い

を知っていただく、体感していただくことを狙いとしています。

「FreeCADで始めるCAE設計入門」を書いた理由

「FreeCADで始めるCAE設計入門」は、初めて3D CADのCAEシミュレーションをするための基礎知識として、次の様な構成としています。

設計力とシミュレーションについて

  • 製品品質とコストの8割を決める設計力の強化
  • 実験とシミュレーションの結果が違ったらどうするか?

設計者の基礎知識として、

  • 材料特性(ヤング率とポアソン比)
  • 応力解析の基礎知識(応力と歪、材料特性)

有限要素法(FEM)を使うための基礎知識として、

  • FEMの要素とメッシュと応力解析
  • 固有値解析

についてまとめています。

見方を変えると、3D CADの操作方法を覚えた設計初心者を想定し、

  • 設計の基礎的な知識としての応力解析
  • CAEシミュレーション(FEM)を使うための基礎知識

についてまとめています。

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Kindleの販売実績からニーズについて考察します

販売実績を比べると、販売時期が違うので比較が難しいのですが、「FreeCADで始めるCAE設計入門」の方が「ハンマリング試験から始めるモード解析」よりも売れています。

Kindleの販売実績には2種類あります

なお、Kindle本の場合、紙の本と違い、

  • 電子書籍の販売数
  • KU(Kindle Unlimited)とKOL(Kindle オーナーライブラリー)

の2種類の販売実績があります。

2つの販売実績から推測されること

2冊の販売実績を見ていると、

  • KU/KOLの数字(ページ数)が上がると、販売数が上がる

つまり、

  • KU/KOLで読んでから、購入している

のではないかと考えています。

次に、購入に至る理由について推測してみます。

  • 内容に対する価格に納得して頂けている。
  • マーケティングの視点であれば、お客様の求めることに対し、2冊のKindle本が、値頃感のある価格設定となっている。

とも考えることができます。

では、「FreeCADで始めるCAE設計入門」の方が、「ハンマリング試験から始めるモード解析」よりも売れている理由は、

  • 設計者などCAEを使う人の方が、実験や試験をする人よりもかなり多い。

という購買層のボリュームがそもそも違います。

CAEや実験の教育・訓練(技術者の育成)の違い

CAEや実験について自ら学ぶ(独学)、学校や企業などでの教育・訓練について考えると、CAEと実験とでは大きく事情(環境や進め方)が異なります。

実験では初心者にもできることがある

実験や試験は、準備段階から実際に手伝い、例えばハンマリング試験をやりながら知識や技量などを高めていくことになります。

体験から始め、知らず知らずのうちにOJTとなっているようなイメージです。

「ハンマリング試験から始めるモード解析」は、実験をする機会が減っている今の時代、実験を行う技術者の中でもさらに少ない振動や騒音分野について体験から興味を持つ人が出てくるとうれしいと思いながらまとめています。

3D CADの操作だけではCAEによる設計はできない

CAEの場合、CAEつまり3D CADの操作方法は、セミナーなどで学ぶことができます。

設計と称して部品などの形状モデルを作成することができても、求められる強度を満たすためには、材料選定や解析条件などの設定が必要になり、応力や歪(ひずみ)などの基礎知識は必要です。

そこで、CAE初心者が設計について学ぼうとすると、特に設計初心者が必要とするような初歩的な入門書やセミナーがありません。購入できる書籍や差化できるセミナーは、そのタイトルも目次を見ても敷居が高すぎるのが現実です。

また、CAEのベテランの方が、3D CADの操作ができるCAE初心者に教える場合にも、次の様などうやら困った事情がある様です。

ベテランの方は、CAEツールについても自分なりに試行錯誤して、実務に使える知見(解析手法の選定、解析条件の設定、結果の評価など)を身に着けていますが、それを標準化しているわけでもなく、そもそも「CAEによるシミュレーションの標準化とは何ぞや?」という問題にもなりそうです。

つまり、CAEについて教える対象者が、3D CADの操作ができるだけで、素養(CAEによるシミュレーションに必要な知識)の差が、ベテランと初心者との間であまりに大きく、ベテランと言えどもどこまで想定すればよいか分からなくなります。

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2冊の本が売れている理由

以上、まとめてみると、次の様に考えています。

「FreeCADで始めるCAE設計入門」のニーズには、

  • CAE初心者は何を学べばよいのか分からない。
  • CAE初心者に何から教えればよいか分からない。

というニーズがあり、値頃感もあり売れている。

「ハンマリング試験から始めるモード解析」は、

  • 実験の入門者ではなく、音振の入門者(予備軍含め)を対象にしている。
  • モノづくりにおける振動や騒音の問題を解決するためには、実験とCAE(シミュレーション)の両方が必要で、まずは実験やCAEを体験することから始めましょうという考えからまとめた。

このため、「FreeCADで始めるCAE設計入門」に比べるとかなりニッチ市場だがニーズはあり売れている。

2冊の本とも結果論のような気もしますが、想定した市場、お客様に対し、値頃感のある製品(Kindle出版)を実現できたと言えるのではないでしょうか。

はかせ
はかせ

売上目標を想定してKindle出版をしたわけではなく、本を書きたいという動機からのスタートでしたが、思っていることをブログにまとめたころで、出版できてよかったです。

Amazonへ:「ハンマリング試験から始めるモード解析入門

Amazonへ:「FreeCADで始めるCAE設計入門

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まとめ

このブログ記事から「FreeCADで始めるCAE設計入門」と「ハンマリング試験から始めるモード解析入門」をKindle出版しました。

本を書きたいとの思いを実現した2冊のKindle本の販売実績から、売れている理由やCAEと実験との違いについて考察し、以下の項目でまとめました。

  • 対象となるKindle本の紹介
    • 2冊のKindle本を書いた理由
    • 「ハンマリング試験から始めるモード解析」を書いた理由
    • 「FreeCADで始めるCAE設計入門」を書いた理由
  • Kindleの販売実績からニーズについて考察します
    • Kindleの販売実績には2種類あります
    • 2つの販売実績から推測されること
    • CAEや実験の教育・訓練(技術者の育成)の違い
      • 実験では初心者にもできることがある
      • 3D CADの操作だけではCAEによる設計はできない
  • 2冊の本が売れている理由
はかせ

振動制御を学んだおかげで、モデリングと制御系設計、実験・計測、CAEと幅広く学び、出会いとチャンスにも恵まれ工学博士になりました。
CAEが珍しくない今だからこそ、実験やリアルなモノづくりの体験がより重要になっていると考えています。

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