MQ-9リーパー(Reaper)は、情報収集以外にも様々な用途に使われていますが、RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、遠隔操縦型の高高度無人偵察機です。
RQ-4の「R」は、偵察機、「Q」と「4」は遠隔操縦型の航空機システムの4番目であることを意味しています。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)についてまとめています。
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の用途
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、高高度、長時間の飛行が可能であり、統合化されたセンサーを利用して、全天候型かる昼夜を問わず情報・監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)能力を備えています。
また、航空自衛隊でも装備されています。
下図は、アイキャッチにも使っているRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)です。
図1-1 RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)(その1)
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、2023年5月23日の写真です。
図1-2 RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)(その2)
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の特徴
RQ-4グローバルホークは、無人機ですが、MQ-9リーパー同様単体では運用できない遠隔操縦型の航空機システムの一部です。
以下のような広範なセンサー群を利用した情報・監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)能力により、ほぼリアルタイムで様々な情報を収集し、本隊に提供することができます。
- 画像情報(IMINT:imagery intelligence)
- 信号情報(SIGINT:signals intelligence)
- 移動目標表示(MTI:moving target indicator)
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の歴史
RQ-4グローバルホークの開発は、1995年に先進概念技術実証から始まり、高高度で長時間にわたるISR能力を戦闘部隊に提供可能な軍事的有用性があると認められ、2001年11月より実践配備されています。
なお、RQ-4の「R」は、偵察機、「Q」と「4」は遠隔操縦型の航空機システムの4番目であることを意味しています。
以下は、2014年現在のシステム構成についての情報です
ブロック10
- 7機調達されましたが、2011年に退役
ブロック20
- 当初、画像情報(IMINT:imagery intelligence)のみの機能で実戦投入
- 3機のブロック20はEQ-4通信中継構成に変更され、戦場空中通信ノード(BACN:Battlefield Airborne Communications Node)を搭載
- EQ-4の「E」は、BACNを搭載した機体の通信形態を表す。
ブロック30
2011年8月、ブロック30の初期運用能力(IOC)獲得
以下のセンサーからなるマルチ・インテリジェンス・プラットフォームとなっています。
- 電気光学、赤外線、合成開口レーダー(SAR:synthetic aperture radar)
- ハイバンドとローバンドの信号情報(SIGINT:signals intelligence)センサー
ブロック40
2013年9月、ブロック40の早期運用能力(EOC)獲得
レーダー技術導入プログラム(RTIP:Radar Technology Insertion Program)により、アクティブ電子スキャンアレイレーダーを搭載し、移動目標表示(MTI:moving target indicator)と合成開口レーダー(SAR:synthetic aperture radar)データを提供します。
2014年、34.3時間の飛行に成功し、米国空軍機による無給油飛行の最長記録となりました。
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)のシステム構成
RQ-4グローバルホークは、打ち上げ・回収部隊(LRE:Launch and Recovery Element)とミッション・コントロール部隊(MCE:Mission Control Element)とで運用されます。
打ち上げ・回収部隊(LRE)は、航空機の基地に配置され、パイロットにより目標地域への往復中に航空機を発進・回収します。
ミッション・コントロール部隊(MCE)は、情報・監視・偵察(ISR)任務の大部分において、RQ-4グローバルホークをコントロールします。パイロットと、センサー・オペレーターで運用されます。
写真がみつからなかったのですが、RQ-4グローバルホークのパイロット用ワークステーション(操縦システム)では、機体やセンサーの状態を把握し、飛行経路をコントロールします。また、任務上必要な航空管制、空中管制官、地上管制官、情報・監視・偵察(ISR)のチームとの通信ができます。
センサー・オペレーター用ワークステーション(センサー・システム)では、センサーのキャリブレーションンや条件設定、リアルタイムでの情報収集の計画と実施、センサーの状態把握、監視対象や情報収集の優先順位設定などを柔軟に行うことができます。
写真で見るRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)を写真で見ていきます。
機体形状
下図は、飛行中のRQ-4グローバルホークの写真です。
- 機体後部にターボファンエンジンを装備し、尾翼はY字型の大きな尾翼と逆ハの字型のフィンが装備されています。
図2-1 RQ-4グローバルホーク:全体
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、前方から見たRQ-4グローバルホークの写真です。
- 機体上部に設置されたターボファンエンジンの空気取り入れ口の形状が分かります。
図2-2 RQ-4グローバルホーク:前方
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、機体後方から見たRQ-4グローバルホークの写真です。
- Y字型の尾翼、胴体下部に設置された逆ハの字型のフィン形状が分かります。
図2-3 RQ-4グローバルホーク:後方
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、側方から見たRQ-4グローバルホークの写真です。
- 特徴的な機種の形状が分かります。
- 主翼のフラップが上がっています。
図2-4 RQ-4グローバルホーク:側方
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
離陸(発射)
下図は、発射準備中のRQ-4グローバルホークの写真です。
- 離陸(take-off)ではなく、発射(launch)準備と呼ぶようです。
- 使っているのは地上テスト・コントローラー(vehicle test controller)です。
図3-1 RQ-4グローバルホーク:離陸準備
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、離陸したRQ-4グローバルホークの写真です。
- 写真ではスピード感が分かりませんが、グライダーに近い離陸をするかもしれません。
図3-2 RQ-4グローバルホーク:離陸
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
着陸
下図は、着陸直前のRQ-4グローバルホークの写真です。
- 主翼がたわんでいるように見えます。
図4-1 RQ-4グローバルホーク:着陸
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、着陸後けん引されているRQ-4グローバルホークの写真です。
図4-2 RQ-4グローバルホーク:けん引
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
ハンガー(格納庫)
下図は、格納庫内のRQ-4グローバルホークの写真です。
図5 RQ-4グローバルホーク:ハンガー内
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
メンテナンス
下図は、メンテナンス中のRQ-4グローバルホークの写真です。
図6 RQ-4グローバルホーク:メンテナンス
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
U-2とRQ-4グローバルホーク
下図は、着陸する高高度偵察機U-2ドラゴンレディとRQ-4グローバルホークの写真です。
図7 RQ-4グローバルホーク:U-2との1枚
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
NASAに移管されたRQ-4グローバルホーク
下図は、NASAに移管されたRQ-4グローバルホークの写真です。
- NASAには、当初の開発プログラムで製造された1機目と6機目が移管されました。
- 外見では、機体後方下部の逆ハの字型のフィンがないことが分かります。
図8 RQ-4グローバルホーク:NASA
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
初飛行
1998年2月28日、RQ-4グローバルホークの初飛行に成功しました。
下図は、開発初期のRQ-4グローバルホーク写真のようです。
図9 RQ-4グローバルホーク:開発初期
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の諸元
RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、Northrop Grumman社、Raytheon及びL3 Comm社製です。
主な諸元を以下に列挙します。
- エンジン(推力):
- ロールスロイス・ノースアメリカン製F137-RR-100ターボファンエンジン、3447kg(7,600ポンド)
- 全長:14.5m
- 全高:4.7m
- 主翼幅:39.8m
- 重量:6,781kg
- 最大離陸重量:14,628kg
- 燃料容量:7,847kg
- ペイロード(積載重量):1,360kg
- 速度:574km/h
- 高度:18,288m
- 航続距離:22,779km
- 連続飛行時間(Endurance):34時間以上
- 武装:なし
- 運用人員:3名(LREパイロット、MCEパイロット、センサーオペレーター)
- 初期運用能力獲得(Initial operating capability):
- ブロック30:2011年
- ブロック40:2015年
参考リンク
米国空軍のWebサイトから、RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)のリンクを紹介します。
このページの情報を主に本記事をまとめています。
まとめ
MQ-9リーパー(Reaper)は、情報収集以外にも様々な用途に使われていますが、RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)は、遠隔操縦型の高高度無人偵察機です。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)について以下の項目で紹介しました。
- RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の用途
- RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の特徴
- RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の歴史
- ブロック10
- ブロック20
- ブロック30
- ブロック40
- RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)のシステム構成
- 写真で見るRQ-4グローバルホーク(Global Hawk)
- 機体形状
- 離陸(発射)
- 着陸
- ハンガー(格納庫)
- メンテナンス
- U-2とRQ-4グローバルホーク
- NASAに移管されたRQ-4グローバルホーク
- 初飛行
- RQ-4グローバルホーク(Global Hawk)の諸元
- 参考リンク