MQ-9リーパー（Reaper）は、米国空軍の遠隔操縦型の無人機です。
MQ-9の「M」は、マルチーロール機のM、「Q」と「9」は遠隔操縦型の航空機システムの9番目であることを意味しています。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からMQ-9リーパー（Reaper）についてまとめています。
MQ-9リーパー（Reaper）の用途
MQ-9リーパー（Reaper）は、主に情報収集に使われますが、広範囲のセンサーと通信設備、精密誘導兵器を搭載して長時間の行動（飛行）ができるため、時間的な制約の多き目標に対し、偵察や攻撃ができます。
情報収集、監視、偵察、近接航空支援、捜索・救助、精密な攻撃、レーザー誘導弾の最終誘導（buddy-lase）、輸送船団への襲撃の監視、ルートの安全確保（route clearance）、目標設定（target development）、終末誘導（erminal air guidance）といったミッション（作戦行動）が可能です。
下図は、アイキャッチにも使っているMQ-9リーパー（Reaper）です。
以下の武装（ミサイルと精密誘導爆弾）を搭載しています。
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AGM-114：ヘルファイア・ミサイル（Hellfire missiles）
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GBU-12：ペイブウェイII（Paveway II）
An MQ-9 Reaper, armed with GBU-12 Paveway II laser guided munitions and AGM-114 Hellfire missiles, piloted by Col. Lex Turner flies a combat mission over southern Afghanistan. (U.S. Air Force Photo / Lt. Col. Leslie Pratt)
図1 MQ-9リーパー（Reaper）
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
MQ-9リーパー（Reaper）の特徴
無人機と言われますが、MQ-9リーパー単体では運用できません。
MQ-9リーパーは、以下の装置で構成される遠隔操縦型の航空機システムの一部です。
- MQ-9リーパー：センサーと武器を搭載
- 地上管制ステーション
- 地上管制ステーションとMQ-9リーパーをつなぐ衛星を含む通信システム
- MQ-9リーパーの運用（作戦行動）と保守を行うクルー
MQ-9リーパーの基本クルーは、次の2名で構成されます。
- 操縦とミッションの指揮を行うパイロット
- センサーや武器の誘導を担当する搭乗員
MQ-9リーパーに搭載するセンサーや武装は、ミッションに応じた組み合わせで搭載されます。
無人機と有人機との違いは、極論すればパイロットがどこにいるかの違いとも考えられます。
パイロット交替の際、有人機であれば基地に戻る必要がありますが、無人機であれば基地に戻る必要はないのでそのままミッションを継続することができます。
MQ-9リーパー（Reaper）のシステム構成
MQ-9リーパー（Reaper）の基本構成は、以下の通りです。
- マルチスペクトル・ターゲティング・システム（MTS：Multi-Spectral Targeting System）
- 目標を捉えるための視覚センサー
拡張されたMTS Bでは、以下のセンサーを統合しており、センサーのデータをフルモーションビデオとして個別あるいは融合して見ることができます。
- 赤外線センサー
- カラー、モノクロの中間用テレビカメラ
- 短波赤外線カメラ
- レーザーデシネーター（照準用のレーザー）
- レーザーイルミネーター（追尾用のレーザー）
- レーザーレンジファインダーとディジネーター（精密誘導爆弾Paveway IIに対応）
- 合成開口レーダー
MQ-9リーパー（Reaper）は、各種センサーと目標に応じた武装により、高精度、目標対象以外の被害の局限化、対装甲、及び、対人戦闘能力があります。
下図は、MQ-9リーパーの訓練システム（シミュレーター）の写真です。
Read it and reap with 432nd Attack Squadron The Predator mission aircrew training systems lite is a condensed version of a full-sized simulator, which allows Airmen who work with the MQ-9 Reaper to replicate an active environment, and exercise launch and recovery, and full-mission operations. With help from the 28th Communications and Civil Engineer Squadrons, the 432nd Attack Squadron is able to save $150,000 and 7,800 man-hours a year. (U.S. Air Force photo/Lt. Col. Kenneth Degon)
図2 MQ-9リーパー：シミュレーター
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
写真で見るMQ-9リーパー（Reaper）
MQ-9リーパー（Reaper）を写真で見ていきます。
機体形状
MQ-9リーパー（Reaper）は、機体後部にプロペラを装備するプロペラ機で、垂直尾翼と水平尾翼のがY字型の配置となっています。
- 機首に各種センサー類が搭載されています。
- 武装は、主翼下のハードポイントに設置されます。
An MQ-9 Reaper flies a training mission over the Nevada Test and Training Range, July 15, 2019. MQ-9 aircrew provide dominant, persistent attack and reconnaissance for comabtant commanders and coalition partners across the globe. (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class William Rio Rosado)
図3-1 MQ-9リーパー：機体形状（全体）
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
下図は、MQ-9リーパーの正面からの写真です。
- 一見するとグライダーに似たイメージを受けます。
Aug. 6 airpower summary: Reaper bombs insurgents An MQ-9 Reaper remotely piloted aircraft takes off from Joint Base Balad, Iraq. The Reaper carries up to 3,750 pounds of laser-guided munitions, giving ground commanders unprecedented situational awareness and the ability to bring the right amount of force to bear on a target. (U.S. Air Force photo/Senior Airman Julianne Showalter)
図3-2 MQ-9リーパー：機体形状（正面）
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
下図は、MQ-9リーパーの下面からの写真です。
理由は調べきれませんでしたが、水平尾翼形状に違和感があります。
An MQ-9 Reaper from Creech Air Force Base, Nev., flies over Holloman AFB, N.M., July 8, 2021. This is the first time an MQ-9 has arrived at Holloman AFB from a different base using a recently approved Automatic Takeoff and Landing Capability. (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jessica Sanchez)
図3-3 MQ-9リーパー：機体形状（下面）
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
離陸
下図は、MQ-9リーパーの離陸時（正確にはタッチ＆ゴーをしている時の離陸時）の写真です。
MQ-9 Reaper touch-and-go An MQ-9 Reaper assigned to the 432nd Wing/432nd Air Expeditionary Wing, takes off from the flightline at Creech Air Force Base, Nev., Sept. 1, 2021. The wing hosts the global Remotely Piloted Aircraft enterprise and operates 24/7/365. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Emerson Nunez)
図4 MQ-9リーパー：離陸
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
着陸
下図は、MQ-9リーパーの着陸時の写真です。
- 翼端がウィングレットの様な形状のMQ-9リーパーです。
Fear the Reaper An MQ-9 Reaper lands on Highway 287 during exercise Agile Chariot in Rawlins, Wyo., April 30, 2023. Instead of relying on large, fixed bases and infrastructure, Agile Combat Employment uses smaller, more dispersed locations and teams to rapidly move and support aircraft, pilots and other personnel wherever they are needed. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Carly Kavish)
図5 MQ-9リーパー：着陸
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
ハンガー（格納庫）
下図は、格納庫内のMQ-9リーパーの写真です。
Reaper drops 1st bomb on anti-Iraqi forces An MQ-9 Reaper remotely piloted aircraft prepares to taxi out of a hangar at Joint Base Balad in Iraq. (U.S. Air Force photo/Tech. Sgt. Erik Gudmundson)
図6 MQ-9リーパー：ハンガー（格納庫）
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
武装
下図は、MQ-9リーパーに武装（精密誘導爆弾と対地ミサイル）を搭載した写真です。
July 24 airpower summary: Reaper stops enemy attack A MQ-9A Reaper unmanned aerial vehicle prepares to land after a mission in support of Operation Enduring Freedom in Afghanistan. The Reaper has the ability to carry both precision-guided bombs and air-to-ground missiles. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Brian Ferguson)
図7-1 MQ-9リーパー：武装
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
下図で、MQ-9リーパーの主翼に各種武装を搭載するハードポイントを確認することができます。
- ハードポイントは、胴体側の2か所と主翼先端側の2か所あり、片翼に4か所あります。
An MQ-9 Reaper sits on a ramp in Afghanistan Oct. 1. The Reaper is launched, recovered and maintained at deployed locations, while being remotely operated by pilots and sensor operators at Creech Air Force Base, Nev. (Courtesy photo)
図7-2 MQ-9リーパー：ハードポイント
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
翼端形状の違うMQ-9リーパー
下図は、主翼端がウィングレットの様な形状になっているMQ-9リーパーです。
190724-Z-EU280-1240 An MQ-9 Reaper assigned to the 214th Attack Group, Arizona Air National Guard, flies over Alpena, Mich., July 24, 2019 during a training sortie during exercise Northern Strike 19 at the Alpena Combat Readiness Training Center. Exercise Northern Strike 19 is a National Guard Bureau-sponsored exercise uniting service members from more than 20 states, multiple service branches and numerous coalition countries during the last two weeks of July 2019. (U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. Lealan Buehrer)
図8 MQ-9リーパー：翼端形状違い
出典：USAF（米国空軍）のWebサイト＜Home > News > Photos＞からの画像
MQ-9リーパー（Reaper）の諸元
MQ-9リーパー（Reaper）は、General Atomics Aeronautical Systems社製です。
主な諸元を以下に列挙します。
- エンジン（推力）
- ハネウェル製TPE331-10GDターボプロップエンジン、662kW（900hp）
- 全長：11m
- 全高：3.8m
- 主翼幅： 20.1m
- 重量（空荷）：2,223kg
- 最大離陸重量：4,760kg
- ER型（Extended Range）：5.307kg
- 燃料容量：2,279L
- ER型（Extended Range）：3,418L
- ペイロード（積載重量）：1,701kg
- 最高速度：444km/h（240KTAS）
- 高度：15,240m
- 航続距離：1,852km
- ER型（Extended Range）：2,593km
- 搭載可能武装：以下の組み合わせ
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AGM-114：ヘルファイア・ミサイル（Hellfire missiles）
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GBU-12：ペイブウェイII（Paveway II）
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GBU-38：統合直接攻撃弾（JDAM：Joint Direct Attack Munitions）
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GBU-49：強化型ペイブウェイII（Enhanced Paveway II）
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GBU-54：レーザー統合直接攻撃弾（LJDAM：Laser Joint Direct Attack Munitions）
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- 運用人員：2名（パイロット、センサーオペレーター）
- 初期運用能力獲得（Initial operating capability）：2007年10月
馬力（HP）は、「馬力=キロワット×1.3596」で換算しました。
その他の特徴
その他の特徴を以下に列挙します。
可搬性
- MQ-9リーパーは、主翼を取り外し、コンテナに搭載可能です。
- 全システムは、C-130などの大型輸送機で輸送可能です。
外部燃料タンク
MQ-9リーパーは、外部燃料タンクを追加搭載できるよう改良されています。
MQ-9リーパーの派生機
MQ-9リーパーには、シーガーディアン等の派生機があります。
シーガーディアンについては、海上保安庁情報誌「かいほジャーナル Vol.92」が公開されています。
参考リンク
米国空軍のWebサイトから、MQ-9リーパー（Reaper）のリンクを紹介します。
このページの情報を主に本記事をまとめています。
まとめ
MQ-9リーパー（Reaper）は、米国空軍の遠隔操縦型の無人機です。
MQ-9の「M」は、マルチーロール機のM、「Q」と「9」は遠隔操縦型の航空機システムの9番目であることを意味しています。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトの情報からMQ-9リーパー（Reaper）について以下の項目で紹介しました。
- MQ-9リーパー（Reaper）の用途
- MQ-9リーパー（Reaper）の特徴
- MQ-9リーパー（Reaper）のシステム構成
- 写真で見るMQ-9リーパー（Reaper）
- 機体形状
- 離陸
- 着陸
- ハンガー（格納庫）
- 武装
- 翼端形状の違うMQ-9リーパー
- MQ-9リーパー（Reaper）の諸元
- その他の特徴
- 可搬性
- 外部燃料タンク
- MQ-9リーパーの派生機
- その他の特徴
- 参考リンク
