ここまで「はじめての設計」をテーマに、幾何公差まで説明してきました。
設計はまず板金設計からと言われます。基本的な知識や3D CADの操作法を学んだら、次は図面を描く作業に慣れる、図面作成の量をこなすことが必要だと考えています。
この様に考えると、図面のトレース作業もOJTとして有効な手段であると言えます。
実際の設計現場を見ていると、単純にトレース作業をするだけでは、設計者が図面を描くために必要なスキルが上がるはずもなく、当然の結果として図面の品質が上がることもないようです。
製図の作業は、いろいろな線を使い、部品の形を作っていくことです。線の種類を意識して図面を描くことが重要だと考えています。
ここでは、製図に使う線の種類について説明します。
図面に使う代表的な線の種類
図面でよく使われている線は、いわゆる直線だけではありません。
図面を見ると「難しそう」というイメージを持つ理由の1つは、この線種だと考えています。
一見すると「線の種類が違うから、何か意味があるのだろう。」と思い、例えば図面上に実線と破線の意味が書いてあるわけではないので、「調べないと分からない。」から、「何を調べれなよいのだろう・・・。」といったイメージでしょうか。
といっても、図面に使われている代表的な線の種類は、以下の4つです。
- 実線:部品の形状(外形線、寸法線)
- 破線:部品の見えない部分の形状(かくれ線)
- 一点鎖線:部品の中心線
- 二点鎖線:実際にない部品(設置場所等)を参考として表す(想像線)
上記4つの線に、線の太さを組み合わせて図面は描かれています。
例えば、
- 太い実線は、部品の形状
- 細い実線は、寸法線
を表すために使われています。
図面はCADを使って書かれていますので、CADの設定により使える線種と線の太さなどが決まってきます。
設計初心者としてのポイントは、線の種類と太さには意味(あるいは理由)があることを頭の隅に置いておくことだと考えています。
機械的に図面をトレースするのと、部品の形状をイメージしてトレースしていくのとでは、設計者としての力量が大きく変わっていきます。
図面作成に慣れてきたら、部品の機能や加工法をイメージして、設計思想などを読み取るようにしていくとよいと考えています。
製図に使う線種:JIS Z 8312
製図に使う線種のJIS規格は、次の規格です。
JIS Z 8312:1999 製図 -表示の一般原則-線の基本原則
ここでは、国土交通省の
「CAD製図基準 ・同解説 機械設備工事編(平成29年3月)」
「CAD製図基準」は、国土交通省のWebサイトのリンク先は以下の通りです。
線種グループ
JIS Z 8312で定義されている線種のグループは、以下の4つです。
- 実線
- 破線
- 一点鎖線
- 二点鎖線
線の種類
「CAD製図基準 ・同解説 機械設備工事編(平成29年3月)」の「1-4-1 線」から「表 1-7 線の種類」を引用します。
図1 線の種類
引用先:「CAD製図基準 ・同解説 機械設備工事編(平成29年3月)」の「1-4-1 線」
線の太さについては、以下の様に定めています。
- 太さ:
- 細線、太線、極太線の3種類
- 太さの比率:
- (細線):(太線):(極太線)=1:2:4
- ただし、寸法線、引出線及び輪郭線はこの限りではない。
まとめ
実際の設計現場を見ていると、単純にトレース作業をするだけでは、設計者が図面を描くために必要なスキルが上がるはずもなく、当然の結果として図面の品質が上がることもないようです。
製図の作業は、いろいろな線を使い、部品の形を作っていくことです。線の種類を意識して図面を描くことが重要だと考えています。
ここでは、製図に使う線の種類について以下の項目で説明しました。
- 図面に使う代表的な線の種類
- 製図に使う線種:JIS Z 8312
- 線種グループ
- 線の種類