陸上自衛隊への導入が進められているオスプレイは、次の様なヘリコプター(回転翼機)とプロペラ機(固定翼機)の両方の特性を合わせ持つ、技術的にもユニークなティルトローター機です。
- 回転翼機(ヘリコプター)の垂直離陸、ホバリング、垂直着陸が可能
- 固定翼機(プロペラ機、ターボプロップ機)の長距離飛行、燃料効率、速度特性を持つ
米国空軍向けがCV-22、米国海軍(海兵隊)向けがMV-22です。
ここでは、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元にCV-22について説明します。
CV-22オスプレイとは
オスプレイは、ヘリコプターとプロペラ機の両方の特性を合わせ持つ技術的にもユニークなティルトローター機です。
- ヘリコプターの垂直離陸、ホバリング、垂直着陸が可能
- プロペラ機(ターボプロップ機)の長距離飛行、燃料効率、速度特性を持つ
米国空軍のCV-22は、特殊作戦部隊(special operations forces)の長距離潜入・脱出・補給任務に使用されている多用途機です。
図1 CV-22オスプレイ
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
特徴
CV-22オスプレイは、多用途で自己展開可能な航空機としては、他の回転翼機よりも速度と航続距離に優れています。
このため、次の様な任務に対応することができます。
- 長距離の特殊作戦任務
- 固定翼機と回転翼機の両方を必要とする任務
また、次の様なシステムを搭載することで様々な厳しい条件下での運用を可能にしています。
- 統合脅威対策システム(integrated threat countermeasures)
- 地形追従型レーダー(terrain-following radar)
- 前方監視赤外線センサー(forward-looking infrared sensor)
開発から米国空軍への納入
CV-22オスプレイの米国空軍への納入は、以下の通りです。
- 2000年9月:最初の試験機2機がエドワーズ空軍基地に引き渡し
- 2006年8月:最初の2機の量産機でCV-22の飛行訓練開始
- 2007年1月:最初の運用機の引き渡し
- 2009年:初期運用能力達成
写真で見るオスプレイ
見た目にユニークなオスプレイなので、米国空軍のWebサイトの写真を使いながら特徴を説明します。
飛行モード(ナセルの位置変更による垂直離陸や飛行)
CV-22は垂直に離着陸できると共に、2基のエンジン・ナセル(エンジンとプロペラローター等の部分)を垂直から前方向に回転することができます。
下図は、ナセルを垂直にした状態です。
- ヘリコプターの様に、垂直離着陸とホバリングが可能
- 主翼の後端が下向きになっています。
- ヘリコプターにはテール・ローターがありますが、オスプレイはローターが2基(2軸)の相互作用で同様の効果を得ていると考えています。
図2 CV-22オスプレイ:垂直離着陸モード
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、ナセルが傾いた転換モードの状態です。
- オスプレイ独特の飛行特性が得られます。
- 離陸後の加速や着陸前の原則の際に見られます。
- STOL(短距離離着陸)としての特性を発揮できます。
- 機体とナセルとの角度は、1度~84度です。
図3 CV-22オスプレイ:転換モード
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、ナセルを前方に倒した固定翼モードの状態です。
- プロペラ機(ターボプロップ機)の長距離飛行、燃料効率、速度特性を持つ状態です。
図4 CV-22オスプレイ:固定翼モード
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
プロペラを折りたたんだ状態
艦載時には、以下の写真の通り、プロペラをたたみ、さらに主翼部分を回転することができます。
図5 CV-22オスプレイ:プロペラをたたんだ状態
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、米国海軍の強襲揚陸艦LHA 6のエレベータ上のMV-22オスプレイです。
- プロペラをたたみ、主翼全体が90度回転しています。
図6 MV-22オスプレイ:プロペラをたたみ主翼を回転させた状態
出典:US NAVY(米国海軍)のWebサイト<Home > Resources > Photo Gallery>からの画像
空中給油
もちろん、空中給油にも対応しています。
図7 CV-22オスプレイ:空中給油(その1)
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
オスプレイの空中給油の場合、下図の様に回転翼が給油ノズルに接近するので、オスプレイならではの難しさがありそうです。
図8 CV-22オスプレイ:空中給油(その2)
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
見た目のユニークさだけではないオスプレイ
オスプレイはティルトローター機というユニークな形態で、次の様なユニークな特性を持っています。
- 回転翼機(ヘリコプター)の垂直離陸、ホバリング、垂直着陸が可能
- 固定翼機(プロペラ機、ターボプロップ機)の長距離飛行、燃料効率、速度特性を持つ
このため、パイロットには回転翼機と固定翼機の両方の特性に応じた操縦が求められ、オスプレイの操縦系についても両方の操作性などが求めらるため、複雑な航空機の1つと考えています。
また、詳細は分からないのですが、技術的にも興味深いものがあります。
例えば、
- 2基のエンジンのうち1基が止まったらどうなるのか?
- ナセル内の動力伝達の仕組みは?
- ナセルの位置の制御はどうなっているのか?
- ヘリコプターのモードからプロペラ機へのモード切替は、不連続に思うがどのようなコントロールしているのか?
- メンテナンス性
などなど、ステルス機とは違う技術的な興味を持っています。
CV-22オスプレイの諸元
米国空軍のWebサイトの情報によると、主な諸元は以下の通りです。
- エンジン:ロールスロイス社製リバティAE1107C 2基
- エンジン推力:エンジン1基あたり6,200軸馬力
- 1馬力を75 kgf·m/sとすると、465,000kgf·m/s
- 全長: 17.5m
- 高さ:6.7m
- 翼幅:25.3m
- 最大離陸重量:27,442kg(自己展開時)
- 25,854kg(STOL:短距離離陸時)
- 23,858kg(VTOL:垂直離陸時)
- 最大速度:518km/h
- 最大高度:7,620m
- 航続距離:戦闘半径926km(500海里)(内部補助燃料タンク1基使用時)
- 乗員:4名(パイロット、コパイロット、フライトエンジニア2名)
- ローター直径:11.58m
- 武装:50口径の機関銃1門
- ペイロード:
- 24人(着席)
- 32人乗り(床)、または、4,535kgの荷物
参考リンク:米国空軍と防衛省のWebサイト
米国空軍のWebサイトから、オスプレイについてのリンクを紹介します。
このページの情報を主に本記事をまとめています。
防衛省ホームページから、オスプレイについてのリンクを紹介します。
まとめ
オスプレイは、次の様なヘリコプター(回転翼機)とプロペラ機(固定翼機)の両方の特性を合わせ持つ技術的にもユニークなティルトローター機です。
- 回転翼機(ヘリコプター)の垂直離陸、ホバリング、垂直着陸が可能
- 固定翼機(プロペラ機、ターボプロップ機)の長距離飛行、燃料効率、速度特性を持つ
オスプレイには、米国空軍向けのがCV-22と米国海軍(海兵隊)向けがMV-22がありますが、ここでは、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元に米国空軍向けのCV-22について説明します。
- CV-22オスプレイとは
- 特徴
- 開発から米国空軍への納入
- 写真で見るオスプレイ
- 飛行モード(ナセルの位置変更による垂直離陸や飛行)
- プロペラを折りたたんだ状態
- 空中給油
- 見た目のユニークさだけではないオスプレイ
- CV-22オスプレイの諸元
- 参考リンク:米国空軍と防衛省のWebサイト