先日の人とくるまのテクノロジー展で、旧知の音振仲間と雑談をしている中で、「AIが助けてくれる音振の計測器が欲しい」という声を聞きました。
その場では、ぼんやりとしか想像できなかったのですが、自分の音振計測経験や実際に計測を手伝ってもらったり、依頼した時のことなどを振り返り、
AIが失敗しないよう助けてくれる音振の計測器(ソフトウェア)
について、こんなのができるといいなについてまとめています。
なお、2024年5月の人とくるまのテクノロジー展の感想は、以下の記事をご参照ください。
AIが音振の計測を助けてくれるとは?
音振の計測を助けてもらいたい場面や助けて欲しい人を考えてみると、
- 自分で計測する時(自分自身の簡単なミスを避けたい)
- 初心者が計測する時(初心者が基本的な確認モレを避けたい)
- 初心者に計測を教えている時(教える方が確認することを減らしたい)
- いわゆるベテラン(思わぬミス、うっかりを避けたい)
が、考えられます。
ここで、初心者とは、経験が少ない人、計測頻度が少ない人のことです。
音振計測の基本的な流れ
音振計測の基本的な流れは、
- 計測点を決める。
- センサーと計測器を設置する。
- 計測準備
- 計測
- 計測データの確認
- 片付け
となります。
音振計測で注意すること
音振計測で注意することは、
- 計測準備
- 計測中
- 計測後
に分けられます。
計測の失敗を防ぐために、
- 計測準備では、確認すべきことを確実にやったか。
- 計測中は、問題なく計測できているか(計測対象や計測環境の変化により、計測できていなかったり、必要なデータが得られないようなことが発生していないか)
に注意が必要になります。
- 計測後は、データの保存と片付けが主になります。
音振計測で計測器に助けて欲しいこと
音振の計測においては、次のようなことに注意します。
- 準備段階では、チェックリストや手順書などで設定もれやミスが無いようにする。
- 計測中は、計測対象や計測データを含めて、異常がないかを確認(モニタリング)します。
- 計測後は、計測漏れや必要な情報(記録や写真)がそろっているかを確認します。
これらのことは、当たり前のことではありますが、自分が計測する場合でも、教える場合でも、設定誤りなどのミスをしないように、手順書やチェックリストなどを使います。
しかし、手順書やチェックリストは、それを使うのが人である以上、自分自身、あるいは、教える人が自ら確認知る必要があります。
そこで、音振計測で計測器にAIに助けて欲しいことは、
- 計測準備中に、設定漏れがあれば、計測器(ソフトウェア)が教えて欲しい。
- 計測中に異常があれば、計測器(ソフトウェア)が教えて欲しい。
- 計測後、作業漏れ(データの保存など)がないか確認して教えて欲しい。
といったことがあります。
「助ける」というよりは、「手伝う」イメージに近いかもしれません。
また、計測は、
- 同じ様な繰り返し計測
- 1回限りの計測
とに分けられます。
そこで、音振計測器(ソフトウェア)にAI機能を搭載することで、
- 繰り返し計測や一発勝負の計測において、上述してきた設定漏れや計測中の異常などを計測器(ソフトウェア)に搭載したAI機能で判断して、計測者に教えて欲しい。
ということを実現できるとうれしいなと思います。
実際の計測現場では、全く同じ計測はないと思いますが、そこは、AI機能を作る(何とか学習させる)ことで、クリアできそうな気もします。
モノづくりでは、CAEによるシミュレーションが主流で、確認試験や実験などをする技術者は少ないのが現状です。
経験を積もうにも、試作回数は減少していますし、大学の工学系でも実験をする研究室は少ないのが現実です。
少ない実験技術者の負担を小さくするためにも、
- 音振の計測器にAIによるお助け(お手伝い)機能
は、技術的、ビジネス的にどうなるかは分かりませんが、今後の音振を支える計測器(ソフトウェア)について考えるヒントになるのではないでしょうか。
センサーを含む計測器の性能で計測ミスを防ぐ方法は、すでに技術的には限界に近いと考えています。
まとめ
先日の人とくるまのテクノロジー展で、旧知の音振仲間と雑談をしている中で、「AIが助けてくれる音振の計測器が欲しい」という声を聞きました。
その場では、ぼんやりとしか想像できなかったのですが、自分の音振計測経験や実際に計測を手伝ってもらったり、依頼した時のことなどを振り返り、「AIが失敗しないよう助けてくれる音振の計測器(ソフトウェア)」について、こんなのができるといいなと思い、以下の項目でまとめました。
- AIが音振の計測を助けてくれるとは?
- 音振計測の基本的な流れ
- 音振計測で注意すること
- 音振計測で計測器に助けて欲しいこと