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振動問題の基礎知識:振動問題における実験とシミュレーションの重要性

実験とCAEのバランスが大切 振動騒音の計測と対策

身近にある振動・騒音については、以下のページで説明しました。

身近にある振動・騒音について
身近な騒音には、自動車や航空機などの乗り物の騒音、工場や工事現場などがあります。一方で、身近な振動と言われると、地震を除くと思いつくものがないかもしれません。ここでは、身近にある振動、振動現象、音と振動の関係について説明します。

ここでは、振動問題の基礎知識として、振動問題における実験とシミュレーションの重要性について説明します。

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共振現象とは

共振現象とは、ロボットや工作機械のびびり振動や様々な構造物(機械、建物、自動車、自転車、家電製品等)の振動・騒音の原因の一つです。

あらゆる構造物は、それぞれ固有振動数(構造物固有の共振周波数)を持っています。

構造物に加わる振動(外乱)が固有振動数と一致すると、構造物は共振し、騒音を出したり、場合によっては破壊することもあります。特に減衰が小さい場合に大きな影響が出ます。

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自動車の振動・騒音対策のイメージ

自動車の振動・騒音対策も何を重視するかで変わってきます。

ここでは、振動・騒音対策に何を求めるかにより、その対策がどのようなものになるのかについて説明します。

あくまでもイメージですのでご注意ください。

車室内の快適性を高めたい

騒音対策として考えられることは、

  • 不要な音は、できるだけ小さくする。消す。
    • 不要な音とは何かも簡単ではない問題です。
  • 必要な音は聴かせる。
    • 運転手にはエンジン音や外界の音を聴かせる。
    • 同乗者には静粛性を保つ。
    • ハイブリッド車などでは、歩行者に自動車の接近を知らせるための音が研究されていたりするそうです。

振動対策として考えられることは、

  • 不要な(不快な)振動は、できるだけ小さくする。消す。
    • そもそもエンジンという加振源をもっているので、元から完全に消すのは難しく、例えばキャビン内には伝えないといった対策になるのではないでしょうか。
  • 必要な振動は伝える。
    • 路面の凹凸がハンドルを介してドライバーに伝わる。
    • スポーツカーでのエンジン回転上昇に伴う振動は、全くなければ逆にドライバーに違和感を与えてしまうと思います。

スポーツカーの場合:性能重視

スポーツカーであれば、(限界はあるでしょうが)コスト増となっても、付加価値が高いことの方が重要な対策を選ぶのもありかと思います。

  • 吸音材、遮音材を付加する。
  • 対策部品を付加する。

乗用車:コスト重視

対策部品追加は、余分な部品追加、つまりコスト増に直結します。

このため、

  • 部品の設計変更で何とかならないか・・・。

と技術者は頭を悩ませているのかもしれません。

振動と騒音、気付くのはどちら?対策はどちら?

「うるさい」など、振動と騒音とでは、気になる、気付くのは音の方が多いようです。

振動ならアイドリング時の「びびり」振動などがありますが、

  • 走りだせば消える。
  • エアコンをかけるとエンジン回転数が上がり消えてしまう。
  • 気になる人には分かるが、メカニックなどに伝えるのが難しい。

など、なかなかやっかいな問題がありそうです。

現実的な振動対策としては、設計変更(補強、減衰材の付加、部品の構造変更)となることが多いと思います。

現実的な音対策としては、音なら吸音材、遮音材を付加する等がありますが、最終的には振動対策につながっていることも多いと思います。

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振動対策における実験とシミュレーションの重要性

振動対策のためには、振動問題に関する知識をベースに、

  • 実験・計測からのアプローチ
  • シミュレーション(CAE)

によるアプローチとがあります。

両者がそれぞれ重要なのはもちろんですが、実験・計測だけでも、シミュレーションだけでも、100%の振動対策は難しいと考えています。

実験・計測、シミュレーション共にメリット(得意なこと)もあれば、デメリット(苦手とすること)があるからです。

お互いの強みと弱みを知り、うまく組み合わせることが有効な振動対策実現の近道だと思うのですが、言うは易しとお考えの方が多いのではないでしょうか。

私の場合ですが、振動・騒音でお悩みのお客様が、解析ツールを導入したり、実験設備を購入する前に、

「まずは、実験・計測の担当者とシミュレーションの担当者が、お互いの仕事に興味を持ち、話をすることろから始めてはいかがですか。」

と提案させていただくことがありました。

解析ツールにしろ、実験設備にしろ、安いものではありませんし、簡単に使いこなせるものでも、すぐに効果が見えるものでもないと思うからです。

社内や身近に振動・騒音を知る人が増えることは、

  • 実験・計測の担当者にとっても
  • シミュレーションの担当者にとっても
  • モノづくりをする人たちにとっても
  • これ以外のすべての関係する人にとって

きっとプラスになると考えています。

まとめ

ここでは、振動問題の基礎知識として、振動問題における実験とシミュレーションの重要性について、以下の項目について説明しました。

  • 共振現象とは
  • 自動車の振動・騒音対策のイメージ
  • 振動対策における実験とシミュレーションの重要性
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