航空機の開発は、大きく機体とエンジンとに分けられます。機体とエンジンの開発メーカーは、別であることが多いようです。
さて、最強の戦闘機はF-15EXイーグルIIなのかF-22ラプターなのかは、求められる要素(仕様とか)が違いますので単純に比較することが難しいと考えています。
ここでは、F-15EXイーグルIIとF-22ラプターのエンジンについてまとめています。
F-15EXイーグルIIとF-22ラプターのエンジン
下図の上側がF-22、下側がF-15のエンジンです。
外観から次の違いが分かります。
- 上側のF-22の2次元スラスト・ベクトル・ノズル
- 下側のF-15の方はオーソドックスな円筒状の排気口
図1 エンジンテスト:F-22とF-15のエンジン
上側のF-22のエンジンの出典:USAF(米国空軍)のTYNDALL AFBのWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています)
上側のF-15のエンジンの出典:USAF(米国空軍)のMISAWA AFBのWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています)
以下、それぞれエンジンについて説明します。
F-15EXイーグルII:GE製 F110-GE-129
F-15EXイーグルIIとAdvanced F-15に使われているエンジンが、GE製F110-GE-129です。
GE製のエンジンは過去10年のF-15の新規生産機で100%採用され、フライ・バイ・ワイヤが完全に統合されているなど、F-15EXイーグルIIにおいてもリスクの低いエンジンとなっています。
主にGEのWebサイトのF-110の情報を主に紹介します。
主に次の様な改良が施されており、従来エンジンからの大幅な改良となっているようです。
- 増加したエアフローの増加
- ジェットエンジンの効率、
- 3段コードブリスクファン
- 先進のラジアルオーグメンター
- 複雑さが軽減され、メンテナンス性が向上
- 部品寿命が延びた。
改良点を列挙します。
- 性能向上(Improved performance)
- 全領域デジタルエンジン制御
- (FADEC)搭載
- 高度な解析が可能
- 燃費の向上(Better fuel burn)
- 3次元空力設計のブレード/ベーンにより、燃料消費量を最適化
- 改良型燃焼器(Improved Combustor)
- 新型ライナー冷却設計
- 翼上時間の増加(Increased time-on-wing)
- ステーターベーン設計の改善
- 新型HPTノズル&ブレード
- 新型S1 LPTノズル
- 予備機性能(Performance capability in reserve)
エンジン諸元:F110-GE-129
- 推力クラス:13,154(kg)
- 全長:4.63(m)
- 最大直径:1.18(m)
- エアフロー:270 lb/sec 122(kg/sec)
- バイパス比:0.76
写真で見るエンジンテスト
下図は、F110-GE-129のエンジンテストの写真です。
図2 エンジンテスト:F110-GE-129
エンジンの出典:USAF(米国空軍)のMISAWA AFBのWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(加工しています)
F-22ラプター:P&W製 F119-PW-100
ステルス機(第5世代戦闘機)様に開発されたのが、P&W製F119-PW-100エンジンです。
主にP&W社のWebサイトのF-119情報を主に紹介します。
主な特徴を列挙します。
ステルス技術や2次元スラスト・ベクトル・ノズルにより、高い推力対重量性能を兼ね備え、これまでにない機動性と生存性を実現しています。
また、最高速度では仕様こそF-15に劣るものの、アフターバーナーなしでの超音速飛行可能なスーパークルーズを実現しています。これによりアフターバーナー使用による急激な燃費悪化を避け、航続距離を伸ばすことができます。
特徴を列挙します。
2次元スラスト・ベクトル・ノズル
ステルス性と機動性を両立させているのが、2次元スラスト・ベクトル・ノズルの採用だと考えています。
- 2次元スラスト・ベクトル・ノズル
- 可動範囲:上下±20度
- ノズル位置は、F-22の飛行制御システムと統合され、デジタル電子制御(FADEC:Full-Authority Digital Engine Control)により自動的に制御されます。
-
FADECは、メンテナンスや自律的なロジスティクス支援、フィールドおよび試験データの自動処理のための高度な診断とコンディション管理機能を備えています。
- F-22ラプターは、エンジンを2基搭載しているので、2つの推力を変化させることで、機動性にも寄与します。
3段の一体型ブレードファン(Three-stage integrally bladed fan)
3段の一体型ブレードファンは、1段の低圧タービンで駆動されています。
エンジンの二重回転軸には、最新の単結晶超合金ブレードと先進の冷却技術を採用したシングルの高圧タービンで駆動する空力効率の高い6段コンプレッサーが搭載されています。
高圧コンプレッサは、最新の翼の空力設計と一体型ブレード採用のローターディスクにより、耐久性とコンパクトなサイズを両立しています。
エンジン諸元:F119-PW-100
推力しか分かりませんでした。
- 推力クラス:15,875(kg)
- 全長:?(m)
- 最大直径:?(m)
- エアフロー:?(kg/sec)
- バイパス比:?
写真で見るメンテナンスとエンジン試験
下図は、F119-PW-100のエンジンテストの写真です。
図3 エンジンテスト:F119-PW-100
出典:USAF(米国空軍)のTYNDALL AFBのWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
下図は、F-22ラプターのメンテナンス中の写真です。
- 2次元スラスト・ベクトル・ノズルを開いた状態です。
図4 F-22ラプターのメンテナンス
出典:USAF(米国空軍)のTYNDALL AFBのWebサイト<Home > News > Photos>からの画像
F-15EXとF-22のエンジンの比較
F-22のF119-PW-100の諸元で唯一分かった推力クラスで比較してみます。
- F-15EXのF110-GE-129:13,154(kg)
- F-22のF119-PW-100:15,875(kg)
つまり、F-22の方が、約20%推力クラスが大きいことになります。
あえて同じ総機体重量として単純比較してみると、F-22の方がF-15EXよりも20%エンジン推力に余裕があることになります。
まとめ
航空機の開発は、大きく機体とエンジンとに分けられます。機体とエンジンの開発メーカーは、別であることが多いようです。
さて、最強の戦闘機はF-15EXイーグルIIなのかF-22ラプターなのかは、求められる要素(仕様とか)が違いますので単純に比較することが難しいと考えています。
ここでは、F-15EXイーグルIIとF-22ラプターのエンジンについて、以下の項目で説明しました。
- F-15EXイーグルIIとF-22ラプターのエンジン
- F-15EXイーグルII:GE製 F110-GE-129
- エンジン諸元:F110-GE-129
- 写真で見るエンジンテスト
- F-22ラプター:P&W製 F119-PW-100
- 2次元スラスト・ベクトル・ノズル
- 3段の一体型ブレードファン(Three-stage integrally bladed fan)
- エンジン諸元:F119-PW-100
- 写真で見るメンテナンスとエンジン試験
- F-15EXとF-22のエンジンの比較