最強のマルチロール戦闘機F-15イーグル(Advanced F-15E)

F-15はマクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)の戦闘機で、すでに約40年、航空自衛隊を含め世界中で運用されています。

  • 今では制空戦闘機ではなくマルチロール機に分類されています。

また、米国空軍で導入契約が結ばれたF-15EX、2020年11月現在順調に開発が進んでいるようです。航空自衛隊のF-15については、どうなるかはっきりしないようです。

日本の初号機納入は1981年のF-15がF-15EXになるとは
F-15は日本での初号機納入が1981年、これまでにも近代化改修がされてきましたが2020年7月にF-15EXの導入が米空軍、航空自衛隊でも決まりました。驚きのライフサイクルです。F-15EXの概要とライフサイクルについてまとめています。

以下、ボーイング社と米空軍のWebサイトからの情報を元に、最新のF-15(Advanced F-15E)を紹介します。

F-15(Advanced F-15E)とは

ボーイング社のWebサイトには、以下の現在主力のF-15と開発中のF-15EXのページがあります。以下、この情報を元にF-15とはどの様な戦闘機なのか説明します。

F-15は世界最先端の技術を駆使し、世界のどの戦闘機よりも大きなペイロード、より速く、長い射程距離を実現しています。

Eagles in Oregon

An F-15 Eagle from the 142nd Fighter Wing takes off from Portland Air National Guard Base in Oregon during an operational readiness inspection on Wednesday, June 14. (U.S. Air Force photo/Senior Airman John Hughel)

図1 F-15 :Eagles in Oregon

出典:AFNWC(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。

下図は着陸時のF-15で、機体上部のエアブレーキを開いています。

エアブレーキは着陸方向の空気抵抗と、機体を押し下げることでタイヤの設置圧を上げてブレーキの補助となっているのではないかと考えています。

F-15E Strike Eagles Arrive at Andersen

A U.S. Air Force F-15E Strike Eagle touches ground Andersen Air Force Base, Guam, on June 4 from the 389th Fighter Squadron, Mountain Home Air Force Base, Idaho. A total of twelve F-15’s are deployed to Andersen for a four month long tour. (U.S. Air Force by Airman 1st Class Courtney Witt)

図2 F-15E Strike Eagles Arrive at Andersen

出典:AAFB(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。

戦力を倍増させる航空機

はかせ
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「戦力を倍増させる航空機」というのは、早期警戒管制機(AWACS)や空中給油機などと組み合わせた総合力を発揮するという意味ではないかと考えています。

F-15は、航空優勢と国土防衛のミッションを維持しつつ、米国空軍の能力を維持・向上させるための低リスクで手頃な価格のソリューションです。

現在のF-15は、先進のコックピット、AESAレーダー、デジタル電子戦システム、世界最速のミッションコンピューター、最新のセンサーなどの次世代技術を搭載しており、現在及び進化していく脅威の一歩先を行くことができます。

より速く、より遠く・長く飛行し、より多くの搭載能力(ペイロード)を備えたF-15は、今日も無敵の戦闘準備が整っています。

Combat Archer

OVER THE GULF OF MEXICO — First Lt. Charles Schuck fires an AIM-7 Sparrow medium range air-to-air missile from an F-15 Eagle here while supporting a Combat Archer air-to-air weapons system evaluation program mission. He and other Airmen of the 71st Fighter Squadron deployed from Langley Air Force Base, Va., to Tyndall AFB, Fla., to support the program. (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Michael Ammons)

図3 F-15:Combat Archer

出典:AFNWC(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。

下図は、F-15を真正面から撮った写真です。2基のジェットエンジンの空気取り入れ口や2つの垂直尾翼が分かりやすいです。

F-15E Strike Eagles Arrive at Andersen

U.S. Air Force F-15E Strike Eagle waits to taxi down the runway of Andersen Air Force Base, Guam on June 4. The F-15’s are from the 389th Fighter Squadron, Mountain Home Air Force Base, Idaho. A total of eight F-15’s are deployed to Andersen for a four month long tour. (U.S. Air Force by Airman 1st Class Nichelle Griffiths)

図4 F-15E Strike Eagles Arrive at Andersen

出典:AAFB(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。トリミングしています。

比類なきペイロードで、より速く、より遠くへ、より高く

キャッチコピーからF-15のスペックを見てみます。

より速く(スピード)

  • 最高速:マッハ2.5
  • 加速力:マッハ0.8から1.2になるまで25秒未満
はかせ
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この辺はF-22もすごいです。

より広い戦闘範囲

  • 戦闘半径:2,200 km
  • 戦闘上昇限度:18,288 m

下図は空中給油の様子です。

はかせ
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空中給油ができてもパイロットの気力・体力に限界はあるはずですが、どの程度まで想定されているのでしょうか?

F-15's Refuel High Above the Pacific

A U.S. Air Force F-15E Strike Eagle from Mountain Home Air Force Base, Idaho, approaches the boom for refueling high above the pacific by a KC-135 Stratotanker from the 117th Air Refueling Squadron, Forbes Field Air National Guard Base, Topeka Kan. Both took off from Andersen Air Force Base, Guam on June 12. (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Courtney Witt)

図5 F-15’s Refuel High Above the Pacific

出典:AAFB(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。トリミングしています。

より多くのペイロード(搭載量)

  • 最大積載量:13,380 kg
  • 任務の効率化のための追加兵器ステーション(パイロン、ハードポイント)
  • 様々なスマート/精密な武器を提供する能力

上記の下2つについては、下図を見れば一目瞭然です。

目的(空対空、空対地、空対艦)に応じた武器を組み合わせ、戦闘ミッションを遂行することができます。

図6と図7は、ボーイング社のF-15のページの「Downloadable Resources」のPDFから引用しています。

F-15Eに搭載できる武装のイメージ図

F-15Eに搭載できる武装のイメージ図

図6 F-15E :搭載できる武装のイメージ

下図から、F-15Eになったから上図全ての武装を一度に搭載できるのではなく、目的に応じた武装を選択して搭載できる組み合わせが増えているということです。

F-15E:外部武装のマトリクス

F-15E:外部武装のマトリクス

図7 F-15E:外部武装のマトリクス

より多くのコスト削減

  • 20,000 時間毎のオペレーションサイクル
  • 運用コストは最低限に
  • (新らしい武器や装備を)追加した際のテスト、トレーニング、インフラへの投資が不要

下図は、F-15のメンテナンスの写真です。

F-15 MXG Phase Maintenance

ANDERSEN AIR FORCE BASE, Guam – Airman 1st Class Jake Sides, 389th Expeditionary Aircraft Maintenance Squadron, performs maintenance on an F-15E Strike Eagle during its phase maintenance Aug. 14. A phase inspection is a group of maintenance squadron flights working together towards a common goal, which is the completion of the inspection, a phase inspection is a miniature overhaul for the aircraft that is performed every 400 flight hours. (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Cory Todd)

図8 F-15E MXG Phase Maintenance

出典:AAFB(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。

より高い戦闘能力

  • 無敗の空戦記録
  • マルチロールの柔軟性
  • 他に類を見ない残存能力と操縦性

より多くのキャパシティ(適応力)

  • アクティブでフレキシブルな生産ライン
  • (これまでの経験で)実証された迅速なアップグレード
  • すでに戦闘準備は完了しています。

先進の機能(高度な能力)

写真は、ボーイング社のWebページでみることができます。

アクティブ・エレクトロニック・スキャン・アレイ(AESA)レーダー

現在使用されている最も強力で運用可能なレーダーであるF-15のAESAレーダーは、卓越した処理能力と優れた状況認識能力を備えており、現在および将来の脅威を打ち負かすことができます。

はかせ
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フォエーズドアレイレーダーの進化版のイメージです。

世界最速のミッションコンピュータ

Advanced Display Core Processor (ADCP) IIミッションコンピュータは、毎秒870億命令を処理し、戦場情報へのリアルタイムアクセスを提供し、パイロットの成果を支援します。

拡張されたハードポイント

主翼に追加されたハードポイントは、空対空および空対地戦闘能力を向上させています。

現在のF-15は、最大13,380 kgのペイロード(積載量)があります。

デジタル・フライ・バイ・ワイヤ

F-15のフライ・バイ・ワイヤ・コントロールは信頼性とメンテナンス性を5倍に向上させ、パイロットのミッション管理能力を向上させます。

はかせ
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F-16は最初からフライ・バイ・ワイヤを採用していました。F-15に採用されているものは最新のデジタル式のもののようです。

高度な電子戦

完全に統合された電子戦システムは、相手方の電子的なレーダー波や攻撃に対する防護機能となり、将来の脅威の支配的な交戦を可能にします。

F-15は最新の防空システムを貫通し、センサーと統合することで、生存性を高めるための対策を提供することができます。

はかせ
はかせ

F-22やF-35の様な最新のステルス機と似たような機能を実現できるということだと考えています。

ハイパワーツインエンジン

より強力なツインエンジンは、他の追随を許さない速度、加速、航続距離を実現します。

F-15のエンジンが提供する推力は、他の追随を許さない柔軟なミッションのために、より速く、より遠くまで飛行することを可能にします。

はかせ
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スクランブル発進もそうですが、急加速、高速度での巡航、そして航続距離を確保するの優れた設計とモノづくりの成果だと考えています。

下図は、離陸時のF-15です。

Eagles in Oregon

An F-15 Eagle from the 142nd Fighter Wing takes off from Portland Air National Guard Base in Oregon during an operational readiness inspection on Wednesday, June 14. (U.S. Air Force photo/Senior Airman John Hughel)

図 F-15:Eagles in Oregon

出典:AFNWC(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>から。

F-15の諸元

最新のAdvanced F-15では、12種類の空対空ミサイル、24種類の空対地弾薬に対応しています。

全長19.45 m
全高5.65 m
全幅13.05 m

エンジン(2基)

  • P&W製F-100 or GE F110
  • アフターバーナー付ターボファンエンジン
  • 推力:13,154 kgf (1基当たり)
重量20,411 kg
最大離陸重量36,700 kg
速度3,017 km/h
武装

F-15A/B/C/D air-to-air(空対空)

  • 20mm cannon
  • AIM-120 (AMRAAM) missiles
  • AIM-9 (Sidewinder) missiles
  • AIM-7 (Sparrow) missiles

F-15E Air-to-ground(空対地)

  • Precision guided munitions
  • Variety of missiles and bombs

F-15E Air-to-air(空対空)

  • Cannon
  • 8 medium- and short-range missiles

Advanced F-15

  • 12 air-to-air missiles
  • 24 air-to-ground munitions

ボーイング社のF-15の特集ページから

ボーイング社のF-15のページに特集ページがあります。主な内容をまとめています。

Put to the Test: The Advanced F-15 is ready for the fight(2019.1.31)

テストチームのより最新のF-15の先進機能と能力を実証した(試験が完了した)という記事です。

米国空軍とボーイング社の飛行試験チームは、約5年に及ぶF-15の厳しい試験を終えました。 

カリフォルニア州パームデールでは、航空機のシステムと飛行制御装置の試験を行いました。この試験では、安全性、品質、性能を確認(検証)するための15,000以上のテストポイントを含みます。

ボーイング社のF-15テストパイロットである マット・ギーゼ(Matt Giese)氏によると、

「新しいF-15は、我々の父親世代のF-15ではありません。これまでに見たこともないような能力を持っています。」

例えば、

  • (デジタル)フライ・バイ・ワイヤ制御システムによる操縦性と機動性を向上
  • 1秒間に870億(87-billion)の命令を処理できる世界最速の戦闘機ミッションコンピュータ
  • 1機で最大12個のミサイルや各種弾薬を搭載可能な武器搭載ポイント(パイロン)を装備

ボーイング社のF-15プログラムの副社長兼プログラムマネージャーであるプラット・クマール氏によると、

「先進技術を統合することで、この無敵のプラットフォームを現代的かつ将来に備えたものにしました。進化したF-15は現在及び将来の脅威を見越した、空の攻撃プラットフォームとなっています。」

はかせ
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当たり前と言えばそうですが自信満々のコメントです。

Fast Gas: This Pit Crew’s Vehicle Goes 1,875 mph(2018.6.25)

ボーイング社の試験評価チームが空軍の戦闘技術を利用して先進F-15の試験をより効率的に実施した。つまり、F-1レースでのピットイン作業での給油の様にF-15のジェットエンジンを稼働させたまま給油できるようになったという記事です。

テストチームのピット・クルーが、運転(移動する)車両はF-15なので、時速3,000km(1,869 mph)というキャッチコピーです。

はかせ
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この様なキャッチコピーのセンス、ユーモアが素晴らしいですね。

ジェットエンジン稼働状態での給油やピット作業

ボーイング社のテストチームには独自のピットクルーがいて、F-1などのカーレースで見るように、エンジンを止めずに給油します。

エンジンを止めずに給油できるため、着陸して燃料を補給し、迅速に試験に戻ることができます。

ボーイングのテストチームは、米国空軍との広範な訓練を経て、1つのエンジンを稼働させた状態でF-15に安全に給油するための認証を取得しています。

  • この技術を使い始める前は、地上でテストジェットに燃料を補給して再起動するのに2時間かかっていました。
  • ホットピッティング(Hot pitting:エンジン稼働状態でのピット作業)により、これを20分以内に短縮し、時間と人員を節約し、試験の効率を高めることができます。
  • 同チームは、将来的には他のプログラムでホットピット給油を利用して、この効率性を広める方法を見つけたいと考えています。

F-15E Tests Fastest Fighter Jet Computer in the World(2016.8.8)

F-15E、世界最速の戦闘機ジェットコンピュータのテストについての記事です。

世界最速のジェット戦闘機用コンピュータ

米国空軍のF-15Eには、世界最速の戦闘機用(ミッション)コンピューターが搭載されています。

CPUは、アドバンスト・ディスプレイ・コア・プロセッサーII(ADCPII)で、1秒間に870億命令の処理が可能で、搭乗員のためにより高速で信頼性の高いミッション処理能力を実現しています。

新しいコンピューターを搭載したF-15Eは、2016年7月8日、フロリダのエグリン空軍基地(Eglin Air Force Base)で初飛行を行いました。ここに、戦闘機のミッション・コンピューターの新時代が幕を開けたことになります。

米国空軍パイロットの言葉として、

「これまでなら帰還できない状況でも帰ってこられるようになった。」

はかせ
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かなり大幅なアップグレードだったようです。

戦闘機のミッション・コンピューター処理能力の向上により実現されたことを列挙します。

  • イーグル・パッシブ/アクティブ警告生存システム(EPAWSS:Eagle Passive/Active Warning Survivability System)、
    • 日本語では意味がよく分からなくないのですが、F-15用のパッシブとアクティブセンサーによる警戒システムの意味かと思います。
  • 長距離赤外線探索・追跡能力(IRST: long range infrared search and track capability)
  • 高速レーダー通信
  • 将来のソフトウェアを組み合わせたアップグレード

まとめ

航空自衛隊にも導入されているF-15イーグルの最新型は、Advanced F-15Eです。いわゆるマルチロール戦闘機で、2021年2月に初飛行に成功し今後導入が進むと思われます。

ここでは、ボーイング社のWebサイトの情報を主にF-15について以下の項目で説明しました。

  • F-15(Advanced F-15E)とは
  • 戦力を倍増させる航空機
  • 比類なきペイロードで、より速く、より遠くへ、より高く
    • より速く(スピード)
    • より広い戦闘範囲
    • より多くのペイロード(搭載量)
    • より多くのコスト削減
    • より高い戦闘能力
    • より多くのキャパシティ(適応力)
  • 先進の機能(高度な能力)
    • アクティブ・エレクトロニック・スキャン・アレイ(AESA)レーダー
    • 世界最速のミッションコンピュータ
    • 拡張されたハードポイント
    • デジタル・フライ・バイ・ワイヤ
    • 高度な電子戦
    • ハイパワーツインエンジン
  • F-15の諸元
  • ボーイング社のF-15の特集ページから
    • Put to the Test: The Advanced F-15 is ready for the fight(2019.1.31)
    • Fast Gas: This Pit Crew’s Vehicle Goes 1,875 mph(2018.6.25)
    • F-15E Tests Fastest Fighter Jet Computer in the World(2016.8.8)
はかせ

振動制御を学ぶことで実験・計測とCAE、モデリングに制御と幅広く学び、出会いとチャンスにも恵まれ工学博士になりました。
CAEが珍しくない今だからこそ、実験やリアルなモノづくり体験が必要だと考えています。

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