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F-15EXイーグルIIの2023年6月現在の開発状況。納入済みは2機のみ?

Northern Edge 21をサポートしたF-15EXイーグルII F-15EXイーグルII

2023年になってからF-15EXイーグルIIの新しい情報がでないなと思っていたところ、どうやら最初に納入された2機の統合開発・運用試験は進んでいるようですが、その後の納入が生産上の不具合などで遅れているようです。

Google先生に聞いてみたところ、米国会計検査院(GAO)の「Report to Congressional Committees JUNE 2023」にF-15EXイーグルIIに関する情報が出ていました。

開発フェーズでは性能達成が最優先ですが、量産するとなると生産上の要求が加わりモノづくりの難しさへの対応も必要となってきます。

「Report to Congressional Committees JUNE 2023」は259ページあり、F-15EXの情報はわずかですが、現在のF-15EXイーグルIIの開発状況がうかがえるかと思いまとめました。

英訳はDeepLで、意訳もしていますので、正確な情報はGAOのWebサイトのレポートをご確認ください。

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「Report to Congressional Committees JUNE 2023」のF-15EXイーグルII情報

米国会計検査院(GAO:U.S. Government Accountability Office)の「Report to Congressional Committees JUNE 2023」から、F-15EXイーグルIIに関連する情報を紹介します。

GAOの簡単な説明と参考にした記事については、記事の最後に紹介します。

F-15EXとは

改めて簡単にF-15EXについて紹介します。

  • 米国空軍のF-15EXプログラムの目的:
    • F-15C/Dの即応性の課題に対処し、最終的にF-15C/Dフリートを置き換えること
  • F-15EXのアップグレード:
    • 海外に販売しているF-15をベースに、運用飛行プログラムソフトウェアやイーグル受動/能動警告および生存性システムのアップグレードなど、米国独自の機能でアップグレードされる予定
  • F-15EXの位置づけ:
    • 高度に競合する環境で活動する第5世代ステルス機のF-35およびF-22を補完するプラットフォームとなるよう計画されています。(統合運用されるという意味合いです。)

下図は、Northern Edge 21に参加したF-15EXイーグルIIの写真です。

  • 外観からは、従来のF-15イーグルとの違いは分かりませんが、中身は大幅に変更されているようです。
演習Northern Edge 21に参加したF-15EXイーグルII

Northern Edge 21 at JBER, Alaska An F-15EX Eagle assigned to the 53rd Wing, Eglin Air Force Base, Fla., takes off in support of exercise Northern Edge 21 at Joint Base Elmendorf-Richardson, Alaska, May 5, 2021. NE21 is one in a series of U.S. Indo-Pacific Command exercises designed to sharpen the joint forces’ skills, and practice tactics, techniques and procedures. Approximately 15,000 U.S. service members participated in the joint training, hosted by Pacific Air Forces, on and above the Joint Pacific Alaska Range Complex, the Gulf of Alaska, and temporary maritime activities area. (U.S. Air Force photo by Alejandro Pena)

図1 演習Northern Edge 21に参加したF-15EXイーグルII

出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

下図は、初号機と2号機の写真です。

F-15EXイーグルII初号機と2号機

370th Flight Test Squadron conducts air refueling operations with F-15EX Eagle II’s F-15EX Eagle II’s from the 40th Flight Test Squadron, 96th Test Wing, and the 85th Test and Evaluation Squadron, 53rd Wing, both out of Eglin Air Force Base, Florida, fly in formation during an aerial refueling operation over Northern California. The aircraft participated in the Northern Edge 21 exercise in Alaska earlier in May. (Air Force photo by Ethan Wagner)

図2 F-15EXイーグルII初号機と2号機

出典:USAF(米国空軍)のEGLIN AFBのWebサイト<Home > News > Photos>からの画像

次項から、「Report to Congressional Committees JUNE 2023」をから、F-15EXプログラムの技術的成熟(Technology Maturity)、設計安定性(Design Stability)、生産準備(Production Readiness)について紹介します。

F-15EXプログラムの進捗状況

2022年9月、F-15EXプログラムは、MTA rapid fielding pathwayからmajor capability acquisition pathwayに移行しました。

  • 当初の計画では、2022年3月に移行予定でしたが、2023会計年度予算の検討が続いていたため、移行が6ヶ月遅れた。
  • より優先順位の高いプログラムに資金を要求するため、2023年度予算要求でF-15EXの調達予定数量を144から80機に減らし、より優先順位の高いプログラムに資金を配分した。
  • F-15EXプログラムの2022年6月のコスト見積もりの結果、F-15EXの計画調達数量を78機にさらに削減した。

ロットについて詳細は分かりませんでしたが、量産ロットの発注予定は以下の通りです。

  • 2022年11月:ロット1生産発注の条件確定
    • 2022年7月に未確定発注(仕様等の詳細が未確定部分を含んだ発注のこと)
  • 2023年5月:ロット2生産発注の条件確定
    • 2021年11月に未確定発注

ロット1とロット2の注文確定が遅れた理由は、

  • 国防契約管理局(DCMA)がボーイングのビジネス管理システムのうち2つを不承認にしたため。
  • ボーイング社は、欠陥に対処するための是正措置計画を策定し、最終承認を得るためにDCMAと協力している。
  • 2022年12月:ロット3の未確定発注

F-15EXの重要な技術と試験報告について

F-15EXの重要な技術はすべて成熟(mature)しており、F-15シリーズをベースにしているため設計は安定しています。

なお、F-15EXプログラムの以下の試験は、2021年5月に実施されていました。

  • システムレベルの試験(2020年12月に完了と報告)
  • 量産するためのプロトタイプの試験(2021年10月に完了と報告)
    • 英語では、production representative prototypes、量産した際に製造上の問題がないか確認するための試験だと思います。

生産上の不具合(その1):サプライヤーの品質

2022年12月に、ボーイング社は最初のロット1B機を納入予定でしたが、いくつかの生産関連の問題のために、納入を6ヶ月遅らせました。

納期が遅れた主な要因は、飛行の安全性を確保する前部胴体アセンブリの重要な部品に関連するサプライヤーの品質問題でした。

これらの品質問題は、7機目と8機目の生産時点で修正されたとのことです。

生産上の不具合(その2):工具の設計ミス

ボーイング社は、設計ミスのある工具を使用したため、3~6機目のウィンドスクリーン(キャノピー)取り付け用の穴あけが不正確な不具合が発生しました。

  • 不具合対策として、穴あけ工具を調整しました。
  • この不具合は、7機目に影響を与える前に特定されました。

ロット2航空機の生産開始前に、影響を受ける航空機の穴を開け直す予定です。

生産上の不具合による納入予定

これらのロット1Bの生産関連問題のために、ロット2も2か月遅れています。

2023年5月から2023年7月にかけて、6機のロット1Bを毎月2機ずつ納入予定です。

ただし、スケジュール・リスク分析では、さらに納期が遅れる可能性があると予測されています。

例えば、DCMAの分析では、これまでに生産問題が発生しているため、納入が2023年9月まで行われない可能性が高いそうです。

  • DCMA(Defense Contract Management Agency’s):アメリカ国防契約管理局

ボーイング社の分析では、ロット1Bの1機目は2023年7月、2機目は2023年8月まで納入されない可能性が高いと予測しています。

なお、ロット1Bの納入が2023年7月以降に遅れた場合には、F-15EXプログラムの計画通りに2023年の初期運用能力獲得やフルレートでの生産などを達成することが困難になるようです。

サイバーセキュリティ

F-15EXプログラムでは、サイバーセキュリティの脆弱性を主要なリスクとして追跡し続けています。

F-15EXの設計は、米国空軍のサイバーセキュリティ要件を満たすように設計されていない米国以外の国に販売するF-15シリーズから派生したものです。

DODのサイバーセキュリティ試験評価ガイドブックでは、脆弱性を評価するための6段階のプロセスを示しており、最初の2つのフェーズを完了し、サイバーセキュリティのフォローアップテストで焦点を当てるべき領域を特定しています。

2023年初頭にさらに2つのフェーズを完了し、ロット1Bの航空機納入時に最後の2つのフェーズを完了予定です。

米国会計検査院(GAO)とは

米国会計検査院(GAO:U.S. Government Accountability Office)とは、様々なプログラム(プロジェクト)における予算の執行状況を確認(検査)し、プログラムの進捗状況を確認することで透明性を確保し、ムダな予算執行を避けたり費用の節約をサポートする役割を果たしています。

はかせ
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かなり、飛躍した意訳になっていますが。

米国会計検査院(GAO)のF-15EXイーグルIIに関する情報

米国会計検査院(GAO)の「Report to Congressional Committees JUNE 2023」から概要説明「OBSERVATIONS FROM DOD’S ANNUAL MDAP REPORTING」には、

  • プログラムの数は減っているが、コストは増加、初期運用能力の提供が遅れている。

とあるようです。

なお、レポートのハイライトと全文のPDFを以下でダウンロードできますので、正確な内容は原文をご参照ください。

Weapon Systems Annual Assessment:

Programs Are Not Consistently Implementing Practices That Can Help Accelerate Acquisitions

Weapon Systems Annual Assessment: Programs Are Not Consistently Implementing Practices That Can Help Accelerate Acquisitions
This is our 21st annual assessment of DOD's weapon systems acquisition. We found that delivery of weapon systems continu...
はかせ
はかせ

タイトルからして厳しめの印象を受けますが、国の予算を使うのですから当たり前のことですね。

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まとめ

2023年になってからF-15EXイーグルIIの新しい情報がでないなと思っていたところ、どうやら最初に納入された2機の統合開発・運用試験は進んでいるようですが、その後の納入が生産上の不具合などで遅れているようです。

米国会計検査院(GAO)の「Report to Congressional Committees JUNE 2023」は259ページありますが、F-15EXの情報はわずかです。それでも、現在のF-15EXイーグルIIの開発状況がうかがえると考え以下の項目でまとめました。

  • 「Report to Congressional Committees JUNE 2023」のF-15EXイーグルII情報
    • F-15EXとは
    • F-15EXプログラムの進捗状況
    • F-15EXの重要な技術と試験報告について
    • 生産上の不具合(その1):サプライヤーの品質
    • 生産上の不具合(その2):工具の設計ミス
    • 生産上の不具合による納入予定
    • サイバーセキュリティ
  • 米国会計検査院(GAO)とは
    • 米国会計検査院(GAO)のF-15EXイーグルIIに関する情報
はかせ

サイト管理人で記事も書いているモノづくり会社の品証の人。
振動制御で工学博士なれど、いろいろ経験して半世紀。
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