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B-21レイダーの情報は、以下をご参照ください。
2022年、米国の爆撃機は、B-52H Stratofortress、可変翼のB-1B Lancer、ステルスで無尾翼のB-2 Spirit、さらに最新型のB-21の開発が進んでいます。
戦略爆撃機近代化により、B-1B Lancerは退役、B-52H StratofortressとB-21による運用になるようです。
ここでは、現在開発中の無尾翼ステルス戦略爆撃機B-21 Raiderについて、主に米国空軍Webサイトからの情報を元に説明します。
B-21 Raiderの概要
2022年1月現在、B-21 Raiderについての情報は非常に少なく、写真も公開されていません。最新型の戦略爆撃機でB-2 Spiritの様な無尾翼の機体形状の様です。
なお、B-21という呼称は、レイダーが21世紀最初の爆撃機であることを意味しています。
下図は、B-21 RaiderのCGです。
図1 B-21 Raider
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(トリミングしています)
CGとの比較になりますが、下図のB-2 Spiritとよく似た形状で、主翼後端形状が違うようです。
図2 B-2 Spirit
出典:USAF(米国空軍)のWebサイト<Home > News > Photos>からの画像(トリミングしています)
B-21 Raiderの特徴
B-21 Raiderの機体形状が、B-2 Spiritとよく似ていると思われることから、同じような特徴を持つと推測されます。
なお、戦略爆撃機の近代化に伴い、B-1B Lancerは退役、B-52H StratofortressとB-21による運用となります。
B-1B Lancerの退役も進んでおり、以下は、米国空軍のWebサイトのB-1B退役とB-21に関するニュース記事へのリンクです。
AFGSC wraps up divestiture of 17 B-1B aircraft, moves toward B-21
B-21 Raiderの主な特徴を列挙します。
- 通常弾と核弾の両方を運搬できる攻撃型ステルス爆撃機(penetrating strike stealth bomber)
- 情報・監視・偵察、電子攻撃、通信などを含む通常の長距離攻撃システムの構成要素となる。
- 核兵器にも対応し、有人・無人の区別なく運用できるように設計されている。
- スタンドオフ型と直接攻撃型の弾薬(ミサイルや誘導弾)を幅広く使用できる。
- 様々な統合リスクを低減し、将来の近代化に対応できるようオープンシステムアーキテクチャで設計され、脅威や環境の変化に応じて航空機を進化させることができる。
開発状況:2022年4月現在
B-21 Raiderの現在までの開発状況は以下の通りです。
2015年10月27日:発注
- 米国空軍は、ノースロップ・グラマン社にB-21のエンジニアリングおよび製造開発契約を発注した。
- ノースロップ・グラマン社のパートナー:プラット・アンド・ホイットニー、ジャニッキー・インダストリーズ、コリンズ・エアロスペース、GKNエアロスペース、BAEシステムズ、スピリット・エアロシステムズなど
2018年:Critical Design Reviewクリア
- Critical Design Reviewをクリア
- Critical Design Review:設計の成熟度、安定性、リスクを開発プログラム全体で総合的に評価するウェポン・システムの設計レビューのこと。
2019年:B-21 Raiderの基地を発表
- 米国空軍は、B-21 Raiderの基地として、Ellsworth Air Force Base(サウスダコタ州)、Whiteman Air Force Base(ミズーリ州)、Dyess Air Force Base(テキサス州)が望ましいことを発表しました。
2021年:B-21 Raiderの基地を決定
米国空軍は、B-21 Raiderの基地をEllsworth Air Force Base(サウスダコタ州)に決定しました。
図3 B-21 RaiderのCGイメージ(Ellsworth Air Force Base)
2022年4月:B-21 Raiderの長納期品先行調達費提供
2022年4月、米国空軍は、B-21 Raiderの長納期品先行調達費として1億800万ドルをノースロップ・グラマン社に提供しました。
現在、B-21の試験機は、ノースロップ・グラマンとの技術・製造開発契約の下で製造されています。同じ製造ラインで、同じ工具、プロセス、技術者により量産機を製造します。
米国空軍では、B-21試験機は、構造的にもミッション・システム的にも、最も量産機に近い機体となっており、今後の飛行試験や量産移行にむけてB-21プログラムは適切に進められていると判断しているようです。
B-21飛行試験用の1号機は、飛行に先立ち構造設計の検証と妥当性確認のための負荷(荷重)校正を始めたばかりです。この後、さらなる統合化と地上試験が行われ、プログラムのスケジュールと飛行準備に進みます。
2022FY(会計年度)で、B-21の最初の主要作戦基地であるエルズワース空軍基地(Ellsworth Air Force Base)で、B-21を立ち上げるための5つの新しい軍事施設建設プロジェクトに資金が提供されました。80年の歴史を持つ通常爆撃機基地では初となる低視認性整備格納庫(a low observable maintenance hangar)の建設がすでに進められています。
環境影響評価は、B-21全機を着陸させることができる第2、第3の主要作戦基地に関する最終的な決定に資するため、今年中に開始される予定です。
第2、第3のB-21主要作戦基地は、ホワイトマン空軍基地(Whiteman AFB)とダイス空軍基地(Dyess AFB)となっています。
2022年5月:ロード・キャリブレーション・テスト順調
2022年9月:2022年12月の第一週にいよいよお披露目(除幕式)
参考リンク
この記事は、主に以下のWebサイトの情報をまとめています。
英文サイトを和訳していることと、私の理解した内容なので正確な情報を知りたい場合には、以下の情報をご参照ください。
- USAF(米国空軍)のB-21 Raiderの紹介ページ
まとめ
2021年現在、米国の爆撃機は、B-52H Stratofortress、可変翼のB-1B Lancer、ステルスで無尾翼の無尾翼のB-2 Spirit、さらに最新型のB-21 Raiderの開発が進んでいます。
機体形状に特徴のあるステルスで無尾翼の戦略爆撃機B-21 Raiderについて、主に米国空軍のWebサイトからの情報を元に以下の項目で説明しました。
ここでは、
- B-21 Raiderの概要
- B-21 Raiderの特徴
- 開発状況
- 2015年10月27日:発注
- 2018年:Critical Design Reviewクリア
- 2019年:B-21 Raiderの基地を発表
- 2021年:B-21 Raiderの基地を決定
- 2022年4月:B-21 Raiderの長納期品先行調達費提供
- 2022年5月:ロード・キャリブレーション・テスト順調