航空機関連のWebサイト「博士による写真で見る軍用機と関連技術」を立ち上げました。
F-16ファイティング・ファルコンについては、以下をご参照ください。
F-15、A-10、F/A-18、F-14に続いては、F-16です。
F-16は、F-15に負けず劣らずのライフサイクルで、しかも高価なF-15に対し相対的にコストパフォーマンスもよく世界各国の主力戦闘機としても導入されています。
主にロッキード・マーティン社のWebサイト(F-16 Product Card)の情報を元にF-16について説明します。
F-16ファイティング・ファルコンとは
F-16のメーカーはジェネラル・ダイナミクス社(現ロッキード・マーティン社)が開発した多用途戦闘機です。
世代的には第4世代ジェット戦闘機に分類されます。
高性能ですが高価格のF-15と比べるとF-16は安価で、アメリカを含む多くの30カ国に4,700機以上導入されており、戦闘機界のベストセラーとも言われているようです。
ちなみに航空自衛隊はF-15、その後F-2、F-35を導入しています。
航空機の戦力としては質が低ければ勝ち目がないと言われているようですが、量が少な過ぎても戦力に大きな影響が出ると思いますが、どんな戦略なのかは少し興味があります。戦略ついでに戦力を発揮するには、戦闘機、パイロット、それを支える兵站として補給・整備もあります。
F-16の特長うちブレンデッド・ウィング・ボディとフライ・バイ・ワイヤについて説明します。
ブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)
ブレンデッド・ウィング・ボディ、英語ではBWB(Blended Wing Body)です。
翼と胴体を一体的に設計するのがブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)です。全翼機やデルタ翼も同じような設計思想だと思われます。
なお、F-14の場合はリフティング・ボディと呼ばれ、胴体部で揚力を得る設計になります。
BWBのメリットを列挙します。
- 胴体で揚力を発生する効果が大きいため、主翼面積を大きくすることなく揚力を大きくする効果を得ることができる。特に離着陸や旋回時などの大迎角(機種を上げた姿勢)での飛行時に有効。
- 単に主翼面積を増やした場合のデメリットを抑えることができる。主翼が大きくなることにより抗力(飛行時の抵抗)の増大などを抑えることができる。
- 胴体内の容積を大きく設計することができるため、内部構造の簡素化や燃料をより多く積むといった効果を得ることができる。
下図は、旧型のF-16です。
図1 F-16
下図は、F-16 Block 70/72のF-16 Product Cardの図です。
図1と比べると基本形状こそ似てはいますが、だいぶ変わってきています。
図2 F-16 Block 70/72
引用先:ロッキード・マーティン社のWebサイト(F-16 Product Card)
フライ・バイ・ワイヤ(FBW)
フライ・バイ・ワイヤ、英語では(FBW:Fly By Wire)です。
F-16は、フライ・バイ・ワイヤ(FBW)の代表例です。
従来の操縦系では、操縦桿と動翼(フラップやラダー)との間は、ロッドやワイヤーなどによる機械的な接続方式となっていました。
FBWの場合、操縦桿と動翼(フラップやラダー)との間は、機械的な接続なしで電気信号を介して接続されています。
FBWを利用することで、動翼に加わる力(圧力)を操縦桿へと逆方向に伝え、操縦席側で操縦桿に疑似的な応答(力)をフィードバックすることができるようになっています。
最新のF-16 Block 70/72について
ロッキード・マーティン社のWebサイトの情報から、F-16 Block 70/72を紹介します。
F-16 Block 70/72は、
The World’s Newest and Most Advanced Production F-16
世界最新・最新鋭のF-16
相互運用性(同盟国や最新の機体)と先進技術を組み合わせ、
F-16Vをベースにした実績のある設計
というキャッチフレーズになるのかと思います。
主な特長について説明します。以下のアップグレードにより、F-16は2060年以降も運用可能になるそうです。
専門用語が多いのですが、雰囲気が伝わればよいと考え、用語の説明は省かせて頂きます。
先進的で統合された機能
F-16ブロック70/72の特長を列挙すると、
- 先進のアビオニクス
- 実績のあるアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダー
- 新しい安全機能を備えた近代化されたコックピット
- 先進の武器
- コンフォーマル燃料タンク
- 改良されたエンジン
- 業界をリードする12,000時間の長寿命構造
さらに、次の様に運用能力を強化しています。
- 高度なデータリンク
- ターゲティングポッドと武器
- 赤外線サーチ&トラッキング(IRST)
- 高精度GPSナビゲーション
- 高度なコモンデジタルフライトコントロールコンピュータ
- パイロットを守る自動地上衝突回避システム(Auto GCAS)付き自動操縦/自動スロットルを備えた高度な自動操縦システム
これらは、最新の電子機器やプログラムにアップグレードしたという仕様になります。
APG-83 AESA レーダーおよび電子戦力
こちらは、総合的な運用能力の向上に関することです。
- 最新のAPG-83 AESA(Active Electronically Scanned Array)レーダー
- 状況認識力、柔軟性、全天候型の迅速なターゲッティングを実現
- F-22およびF-35 AESAレーダーとのハードウェアおよびソフトウェアの共通性を活用することで、F-16に第5世代戦闘機レーダー機能を提供します。
- AESAは、APG-83レーダーとのインターフェースとして設計された完全デジタルレーダー警告受信機(DRWR)を搭載した新しいアクティブおよびパッシブ内部電子戦システム(Viper Shield)と統合されています。
F-22やF-35のレーダー機能をデータリンクにより、F-16でも使えるということだと考えています。
強化された戦闘空間の認知度
これは、パイロットに戦闘空間(バトル・スペース)の状況を伝えるための機能向上のことです。
- 新しいセンター・ペデスタル・ディスプレイ(CPD:Center Pedestal Display)を搭載
- 高解像度の6インチ×8インチの画面でパイロットに重要な戦術的な画像を提供します。
- この高解像度ディスプレイにより、パイロットはAESAとターゲティングポッドのデータを最大限に活用することができます。
- 新しいCPDは、カラーの移動地図、より大きくて管理しやすい空対空状況表示、ディスプレイ間で情報を切り替える機能を備えたズーム機能、飛行計器データのデジタル表示を可能にします。
図3 F-16 Block 70/72 センター・ペデスタル・ディスプレイ(CPD)
引用先:ロッキード・マーティン社のWebサイト(F-16 Product Card)
F-16 Block 70/72の主な仕様(機能)
F-16 Block 70/72の主な仕様を列挙します。
- アドバンスドAPG-83 AESAレーダー
- レーダーモードの改善
- アップグレードされたモジュラー・ミッションコンピュータとアビオニクス・アーキテクチャ
- 赤外線サーチ&トラッキング(IRST)
- 高度なデータリンク、ターゲティングポッドと武器
- 新しいコックピットディスプレイと安全性の向上
- オートパイロット/オートスロットルを強化した新しいデジタル・フライト・コントロール・コンピュータ
- 自動地上衝突回避システム(オートGCAS)
- 3次元音声(立体音響)付きデジタル通信システム
- 高精度GPSナビゲーション
F-16 Block 70/72の諸元
- 全長:15.027 m
- 全幅:9.449 m
- 全高:5.090 m
- 最大速度:2,414 km/h(マッハ2以上)
- 機体重量(Empty Weight):9,207 kg
- 推力(Engine Thrust Class):13,000 kg
- 最大離陸重量(Maximum TOGW):21,772 kg
- 設計荷重倍数(Design Load Factor):9 g
- 耐用年数(Service Life):12,000時間
まとめ
F-16は、F-15に負けず劣らずのライフサイクルで、しかも高価なF-15に対し相対的にコストパフォーマンスもよく世界各国の主力戦闘機としても導入され、戦闘機界のベストセラーとも呼ばれているそうです。
ここでは、主にロッキード・マーティン社のWebサイト(F-16 Product Card)の情報を元にF-16について、以下の項目で説明しました。
- F-16ファイティング・ファルコンとは
- ブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)
- フライ・バイ・ワイヤ(FBW)
- 最新のF-16 Block 70/72について
- 先進的で統合された機能
- APG-83 AESA レーダーおよび電子戦力
- 強化された戦闘空間の認知度
- F-16 Block 70/72の主な仕様(機能)
- F-16 Block 70/72の諸元