2021年10月29日、米国空軍のWebサイトにF-15EX EagleIIを含むAdvanced F-15のGeneral Electric製エンジンの契約締結のニュースが掲載されました。
開発コストと納期、旧型機の更新と新型機の導入、難しい問題が多いようですが、F-15EX EagleIIの開発、運用試験は順調に進んでいるようです。
ここでは、以下の米国空軍のニュース内容を主にF-15EX EagleIIについて紹介します。
F-15EX EagleIIを含むAdvanced F-15用エンジンの契約内容
エンジンのメーカーは、General Electric社(GE Edison Works)で、契約内容は次の通りです。
- F-15EXイーグルII 12機分のエンジン29基の購入(予備エンジン5基を含む)
- 契約額は、1,579,662,187ドル(1ドル114円換算で、約1,800億円)
- 納入開始は、2023年10月
この契約には、7つのオプションが含まれており、計画通り進むと2031年に329基のエンジンが納入予定となっています。
今後10年間で、F-15EX EagleII 136機(エンジンは272機)に供給予定です。
図1 General Electric F110-129型エンジン:Hush House Uninstalled Engine Run
F-15EX EagleIIの特徴
F-15EX EagleIIは、F-15の最新型で従来型に比べ次の様なアップグレードがなされています。
- フライ・バイ・ワイヤ制御
- デジタル・コックピット・ディスプレイ
- 高度なアビオニクス
- イーグル・パッシブ/アクティブ・ウォーニング・サバイバビリティ・システム(EPAWSS)
また、F-15EX EagleIIは、高速の光バスを備えたOMS(Open Mission Systems)設計となっいます。このデジタルバックボーンにより、新しい機能や将来追加される機能を迅速に導入することができるようになっています。
図2 F-15EX EagleII
F-15C/Dの後継機としてのF-15EX EagleII
F-15EXは、これまでに30年以上使用されてきているF-15C/Dの後継機として設計されています。
現時点で航空自衛隊のF-15がどうなるかは未定のようですが、改修(アップグレード)よりは新規購入の方が良さそうな気もしますが、これまでの諸々の事情もありコストだけの話ではないようです。
F-15EX EagleIIのエンジン選定理由
F-15用のエンジンにはP&W製もあるのですが、今回F-15EX EagleIIのエンジン(F110-129型)はGeneral Electric製が選択されました。
コストと納期は、ステルス機(F-22やF-35)開発に限らず、米国空軍でも非常に大きな課題であり問題でもあります。
F-15EX EagleIIのエンジン選定についても、エンジンに求められる要求と製造コストの削減そして納期にも積極的に取り組み、F-15EX EagleIIの速やかな導入を図るため、次の2点の両立を狙っているようです。
- 老朽化したF-15C/Dの後継機として、維持費を削減し、リスクを低減
- 既存および将来のTACAIR(tactical air:戦術航空)ポートフォリオを補完する新しい能力の獲得
以下、私見ですが、
- F-15は優れた設計で寿命の長い機体ですが、同時に老朽化の問題にもなっています。
- ステルス機は新しい戦い方を実現しましたが、調達機数や稼働率の制約もあり、F-15などを含めた統合戦力の発揮が必要になっています。
- コストと納期(開発、量産スケジュール)は、米国空軍への導入スケジュールにも影響する現実的に重要です。
まさに、国家戦略に基づき科学的なエビデンスをもって説明できないと、予算獲得だけでなく予算執行も難しいプロジェクトだと考えています。
まとめ
2021年10月29日、米国空軍のWebサイトでF-15EX EagleIIを含むAdvanced F-15のGeneral Electric製エンジンの契約締結のニュース発表がありました。
ここでは、以下の米国空軍のニュース内容を主にF-15EX EagleIIについて以下の項目で紹介しました。
ここでは、
- F-15EX EagleIIを含むAdvanced F-15用エンジンの契約内容
- F-15EX EagleIIの特徴
- F-15C/Dの後継機としてのF-15EX EagleII
- F-15EX EagleIIのエンジン選定理由